出版社内容情報
前世紀ヨーロッパに生まれた印欧比較言語学は多くの秀れた研究者,豊富な資料にめぐまれて驚くべき発展をとげた.本書はその輝かしい成果にもとづき言語研究における比較方法の基本とその問題点を例証豊かに説き,そのままに類書のない懇切な印欧比較言語学の入門書となっている.原題「比較言語学」. (解説 風間喜代三)
内容説明
前世紀ヨーロッパに生まれた印欧比較言語学は多くの秀れた研究者、豊富な資料にめぐまれて驚くべき発展をとげた。本書はその輝かしい成果にもとづき言語研究における比較方法の基本とその問題点を例証豊かに説いたもので、そのままに類書のない懇切な印欧比較言語学の入門書となっている。
目次
第1章 言語の比較研究
第2章 比較文法の方法
第3章 共通基語の再建と比較資料
第4章 比較方法と歴史言語学
第5章 比較方法は何をなしうるか
附 資料の整理
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サアベドラ
13
言語学者、古典ギリシア文学者の高津春繁による比較言語学入門。比較言語学の扱う領域、資料、その成果と限界が簡潔に書かれている。1950年の本とは思えないほどに読みやすく、類書も乏しいのでいまでも有用な本である。一方、いかんせん古い本なので、戦後の比較言語学の状況を知るには他の本を探す必要がある。同じ著者の『印欧語比較文法』は本書の実践編といった内容なので、印欧語学に関心のある人は併読することを強く勧める。2013/08/19
ヘラジカ
11
久しぶりに読書で疲れた。比較言語学がここまで広く深いとは。自分の生半可な好奇心は、未知なる学問に取り組むにあたっての姿勢として失礼極まりないものだった。猛省したい。「入門」でお腹いっぱいです(そもそもギリシャ語の知識がなさすぎてこれ以上は無理)。でも言語地理学はもう少し知りたいなーなんて思ってみたり。2014/08/09
壱萬参仟縁
11
言語と言語の関わりを解明することの困難さを思い知った。言語そのものの知識は去ることながら、歴史、普及経路、民族など、検討することの多さに圧倒される。素人の私には様々な言語知識がないので、比較されてもついていくことはできない。英語史はなんとか理解できるが、他の言語との関わりとなると厳しいものがある。借用というのは、比較しやすくするための架橋、ヒントではないだろうか。その借用を接点としてつながりを辿れると思われるので。借用は言語の混淆(172頁)。カオスと化しているのは理解できる。W・ジョーンズは覚えておく。2013/07/05
Ex libris 毒餃子
10
高津春繁読んだらギリシア人になれるかと思って読みました。手も足も出ませんでした。本当に入門かしら?2022/05/22
ソラヲ
8
印欧語比較言語学の入門書。ラテン語の例(格変化などの形態的特徴はロマンス諸語からは絶対に遡れない)から共通基語の再建の難しさがよくわかる。よく著者の専門である古典ギリシャ語が比較方法の検討の際に持ち出されるので、この言語に関する知識がないと読む進めるのが難しいかも。しかしこの分野に触れるとつくづくギリシャ・ラテン以外の古典語とリトアニア語をやりたくなる。言語的先史研究など興味深い話が盛りだくさんだったが、門外漢の自分は音韻対応などこの分野の成果を語学学習に活かすなどして恩恵を受けることに徹しますかね……。2015/08/09