出版社内容情報
舞台は二世紀頃のローマ.次々と出される料理を楽しみながら,その材料や料理法や食器や食べ方等々について,宴に招かれた客たちが競って蘊蓄を披露する.知ったところでたいして役に立つとも思えぬ話も少なからずあるが,しかし無類に面白い.この奇書の著者については,その名アテナイオス以外,ほとんど何も分っていない.
内容説明
舞台は2世紀頃のローマ。次々と出される料理を楽しみながら、その材料や料理法や食器や食べ方等々について、宴に招かれた客たちが競って蘊蓄を披露する。
目次
無花果
シトロン
真珠
臓物など
奇妙な用語についてウルピアヌスとキャヌルコスが喧嘩をすること
パン
塩漬魚
冷たい飲物
マケドニアの結婚祝賀宴
アテナイの食事の簡素さ〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
34
なんじゃ、こりゃ。奇書と言えば言える。数日に渡る饗宴でのとりとめのないような会話、のはず。話題は食材に関するウンチクというか、トリビア、俗説だけでない。酒の割り方から飲み方。マケドニア人やペルシア人の豪華な酒宴から質素極まりないスパルタ人の酒宴まで。時にソクラテスを疑い、プラトンをディスり、アリストテレスをくさす。個人的にどうでも良いような音楽や舞踏の起源。美少年好きのソポクレスと人妻好きのエウリピデスのいがみ合い(笑)。失われたギリシャ喜劇の膨大な引用。遊女たちの逸話。時に面白くもあり、退屈でもあり。2025/02/20
Christena
9
宴会の出席者が、食べ物や酒、他国の人々、ホメロス(引用多し)、プラトン(けちょんけちょん)、愛、制度などについて、おおいに語り合う様子を実況中継するみたいな変な本。そもそも長いし、横道にそれすぎ。でも、クスッと笑いたくなるような同人誌的な楽しさや、昔の人も同じこと考えてるーという共感や、博識に感心したり、何の事だか意味不明な部分が渾然一体となって、自分も宴のゲストになったような感じで楽しめました。この本の前に『イリアス』や『饗宴』を読んでおいて良かった。そのネタ多し。2014/08/25
ともも
3
通読するのは3回目。古代ローマ人は食材をどのように調理していたのか。ウサギ、無花果、シトロン、臓物、パン、冷たい飲み物、穴子、鰻、キャベツ、南瓜、梨、棗椰子、雉、孔雀…。本来、この本は興味のある項目だけを拾い読みするのに向いている。哲学者への批判が目につく。例えば「哲学者は史実を曲げること」という章では、プラトンはソクラテスについて嘘ばかり書いていることを証拠を挙げて論じている。史実と合わないことを指摘したり、矛盾を追求したり。ソクラテスは書を残していないので、プラトンはどうにでも書けたということか。2019/05/06
遊未
3
想像以上に楽しかった。内容的には「どこかでお会いしたような?」というところが多かった。まず、「注」の多いこと、その親切さに感謝。止まることなく読める。そして、日本語訳の妙というか、、無味乾燥になっていないのは、もうひたすら日本語訳の多彩なこと、訳の上手さだと思う。ギリシア人にとって神々、英雄、人間どこが違うか?単純明快でありながら、ここから全てが始まる。ただ、ギリシア神話の世界に少し踏み込んでから読むことをお勧めしたい。2014/01/17
てり
2
さまざまな食材の話がメインだが、脱線して遊女や少年愛まで雑多に取り上げられていて面白い。当時の人びとの風俗などが垣間見れて興味深く読めた。解説によると、500ページの本書でも原典の1割5分ほどだとのこと。それでいて著者のことは名前以外ほとんどわからないという。いやはや。2023/02/09