出版社内容情報
第一次世界大戦のさなか、男女様々な参加者を前にウィーン大学で行われた全二八回の講義録。精神分析の創始者たるフロイト自ら、その概要を体系的に語る。入門書であると同時に深く強靱な思考を伝える代表的著作。上巻には第一部「失錯行為」と第二部「夢」を収録、具体的な症例紹介をまじえつつ読者を導く。(全二冊)
内容説明
第一次世界大戦のさなか、実際の聴衆を前にウィーン大学で行われた全二八回の講義録。精神分析の概要を体系的に述べる。入門書であると同時に深く強靭な思考を伝える、フロイトの代表的著作。上巻には第一部「失錯行為」と第二部「夢」を収録する。(全二冊)
目次
第1部 失錯行為(緒言;失錯行為;失錯行為(続き)
失錯行為(結び))
第2部 夢(種々の困難と最初の取りかかり;解釈の前提と技法;顕在的夢内容と潜在的夢思考;子どもたちの夢;夢検閲;夢における象徴作用;夢工作;夢の例の分析;夢の太古的特徴と幼児性;欲望成就;不確実な点と批判)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
2
この本は、一九一五年から一六年、一六年から一七年の二つの冬学期に、医師や他の一般の聴講者を前に行った講義のフロイトによる再現であり、邦訳として岩波書店刊第十五巻『精神分析入門講義』を改訂し、修正の加えられたものである。上巻は、大きく分けて、失錯行為と、夢の分析から成る。失錯行為までは、よく理解できるが、夢の象徴作用の話や特に「機知」など、潜在的夢内容の顕在化(夢工作)の段になると途端にむずかしくなるし、こじつけのように感じてくる。それをフロイトは、さまざまな学問や神話を引き合いにして、必死に説明してくる。2024/01/08
Yasunori Hosokawa
1
60歳前後のほぼ晩年にそれまでの臨床経験、研究成果を平易に講義したもの。タイトルのとおりフロイトを知るための入口として広く読まれているわけですが、自分はやっぱりフロイトは臨床家なのだなと改めて思った次第です。厳格な方法に則ることで人間心理の構造を浮かび上がらせながら、一方で理論的整然さを現実に押し付けない禁欲的な姿勢が凄い。こういう点でいわゆる「フロイディズム」と呼ばれるものとフロイト自身は違うのではないか。起点にはまず治療者であるということが厳然とあると感じます。2024/02/07
ZR
0
フロイトが自ら精神分析の概要を体系的に示した貴重な講義録。上巻では、神経症の研究に向けた準備段階として、失錯行為や夢を、意識的な心的過程と無意識的な心的過程との関係の産物として捉えて説明している。フロイトは、無意識的な心的過程の起源を、幼児的なものの領域、とりわけかの有名なエディプスコンプレックスに見出している。人間の精神は、歴史性・社会性を帯びた多層的なものなのである。2024/03/07