出版社内容情報
前記『付録と補遺』の中から『思索』『著作と文体』『読書について』の三篇を収録.「読者とは他人にものを考えてもらうことである.一日を多読に費す勤勉な人間は次第に自分でものを考える力を失ってゆく.」――鋭利な寸言,痛烈なアフォリズムの数々は,山なす出版物に取り囲まれた現代のわれわれにとって驚くほど新鮮である.
内容説明
「読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に費やす勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。」―一流の文章家であり箴言警句の大家であったショウペンハウエル(1788‐1860)が放つ読書をめぐる鋭利な寸言、痛烈なアフォリズムの数々は、出版物の洪水にあえぐ現代の我われにとって驚くほど新鮮である。
目次
著作と文体
読書について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月讀命
177
愛読書。書棚に入る事なく、いつも食卓にある私自身の座右の銘。版を調べてみると1986年6月10日第30刷なので、四半世紀の間、生活を共にしている本である。日本語で書かれている筈なのに、英文を読むように意味を理解しながら、2、3行読んでは思索し、読み砕いている。読書とは、自分で考える代わりに、他の誰かに考えてもらう事である。だから思索を伴わなきゃいけない。良いものだけを読み、悪いものは読むな。悪書は時間と労力の無駄。読めば毒になる。流行は追うな。多読はするな。・・薄っぺらな岩波文庫の中に、偉大な巨人を見た。2013/04/11
ehirano1
172
思考の権化であるショーペン大先生による読書とどう付き合っていけば良いかについての「ハードコア読書論」でした。読書“術”ではないので(=私はテクニックの話ではないように思いました)、心して本書と面と向かう必要があるのではないかと思いました。しかし、パンチの一発一発が重過ぎるので(笑)、本書を「読む」のではなく、本書と「対話」することで内容がスッと入ってくるように思いました。2024/10/11
はっせー
146
読書について考えたことはありますか?この本はそんな素朴のことを突き詰めて考えた思索の結果が詰まった本になっている。ショーペンハウアーさんは読書で一番大切なことをこう定義している。それは悪書を読まないこと。最近出た本ではお金を稼ぐことに重きを置いており思索した形跡が見られないそうだ。だからこそ古典を読むべきとしている。現代にも当てはまるところもある。書籍やインターネットによって情報が過多になっている。そこから選ぶのは難しい。古典を触れることによって今の本から良書を選べるようになるのではないかと思った!2022/02/17
hit4papa
146
思索せずして、読書をすることの弊害を説いていきます。懇々と、お説教されている気分です。舌鋒鋭いというより、毒舌に近いのでしょう。確かに、鼻につくほどの天才主義なのかもしれません。でも、ここまでメッタ斬りされると、かえって心地良くはありますね。2013/02/03
kazuさん
130
「読書について」は、170年前 (日本は江戸時代) に書かれたわずか20ページ足らずの文章。現代に通じる読書論となっている。『貧困は貧者を束縛し、無知なる富者は快楽に生き、家畜のような生活を送る。学者は多読の末、愚者となる。読書にいそしむ限り、我々の頭は他人の運動場にすぎない。食べるために書かれた本が巷に氾濫している。良書を読むための条件は、悪書を読まぬことである。古典を読むべし。』ーー読書の心構えを教えてくれる名著であり、翻訳も素晴らしく、内容が非常に分かりやすい。この偉大な哲学者が身近な存在になった。2025/06/07