出版社内容情報
スピノザは十七世紀オランダの哲学者.世俗的幸福のむなしさを痛感して人間の幸福は事物の真の認識による自然との合一にあるという確信を得た著者は,この論文で知性を改善し純化して,真なる認識,真なる観念に至る道を求める.短くしかも未完の論文ではあるが,スピノザの哲学体系への序説的役割を担う重要な著作である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aster
56
エチカ読む前に読んでおこうと思った。気の遠くなることやってんな〜って感じなんですが、スピノザの誠実さというか真理をゼロから考えたいという心意気が感じられていい。表象は受動的だから言語でいくらでも改変出来るよ的な部分はオォーとなった。難解かもしれないけれど、ムカつくぐらい丁寧で誠実なので、しかも予備知識は何も要らないので!自分との距離を体感出来る哲学書、哲学者でしたね。良かった。2020/12/29
マンセイ堂
45
脳がパンクしました。スピノザが何を考えていたのか分かりません。「エチカ」を読まなきゃいけないのかな。2013/11/25
ころこ
44
100ページ足らずに箇条書きにされている箇所が3ヶ所あり、そこを重点的に読むだけでも違った読みになるのではないかと思います。①26ページ、知性と外側にある諸事物の関係が論じられています。知性と諸事物それぞれの本性を理解すること。コナトゥスと同様のことをいっています。②75ページ、定義について。定義とはそれだけで事物の全ての特性を言いあらわしていなければならない。③最後、知性の特性。知性は確実性を包含し、絶対的に知覚し、無限性を表明し、肯定観念を形成し、永遠の層の下に、我々の本性の必然性だけから生じる。2021/06/04
かわうそ
33
スピノザは次のように高らかに宣言する。 「私は疑いもない善のために疑いもない悪を捨てるであろうという考えに達した。」14 そして、 「すべての幸福あるいは不幸はただ我々の愛着する対象の性質にのみ依存するという事実から生ずるように思われ」(15ページ)るのであるから人間は最高善を求めるべきであるという。 もちろん、ここでスピノザが神に対する愛を想定していることは明らかだ。 本書は未完であり、初期の作品であるがスピノザの思想が大まかに何たるかが彼の情熱と共に読み取れることと思う。 エティカを読み返したくなる。2024/12/31
加納恭史
17
ロレンス著「チャタレイ夫人の恋人」の長々しい愛欲論議に疲れて、またスピノザの哲学に戻る。少しは分かるかな。現代の神学者たちが憤激して、争いごとを極度に嫌うこの私に、彼らの常とする憎念を以て迫ってくることを私は恐れている。彼らと言わず全ての人々―少なくとも私の知っている―が、神の属性と見ているものを被造物と思考し、彼らが先入見に捉われて被造物と思考している他のことどもを、私は神の属性と見、彼らの考えの誤解であることを主張している。私は知っている全ての人々のようには、神を自然から離して考えないことです。2023/05/26
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