出版社内容情報
正式には『理性を正しく導き,諸々の学問において真理を求めるための方法の序説』.近代合理主義哲学の祖デカルトの主著であり,思想的自叙伝でもある.我々がヨーロッパ近代の思想,また文化一般を根本に遡って考えようとする時,一度は熟読しなければならぬ書物である.有名な「われ考う,ゆえにわれあり」の句は本書に見える.
内容説明
すべての人が真理を見いだすための方法を求めて、思索を重ねたデカルト(1596‐1650)。「われ思う、ゆえにわれあり」は、その彼がいっさいの外的権威を否定して到達した、思想の独立宣言である。近代精神の確立を告げ、今日の学問の基本的な準拠枠をなす新しい哲学の根本原理と方法が、ここに示される。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
110
23歳にして全ての学問を学び終わったと認識し、そこからは自らの頭でそれらを疑い真実を見つけようと決めたデカルトが旅や思索を経て41歳で書いた本書(科学論文の序章として書かれたもの)。生前の名声は要らない、限りある生の中で思索に耽る時間の邪魔になるから。しかし後世に益となるものを残したい。その通りデカルト主義は近代合理思想の根幹を形成する。考える私、意識や理性の原型二元論(精神と肉体、主体と客体)、数学モデル、自然研究がその思想の中身だがその全てはまだ自分の中に落とし込めず、追加思考の宿題を貰った。2022/01/30
Major
99
「我思う故に我あり」この根本定理がその後の西洋哲学・思想および科学の進歩にどれほど甚大な影響を与え、人間存在の思想的根拠を与えたかを考えると感慨深い。はじめの我と後の我との間に、それまでの形而上学が、いかほどの努力を払って議論を尽くしてきたであろうか。「はたして私は<ある>のだろうか」という私自身の宿命的な問いに対して、「(そのように)考えている(疑っている)私が<ある>ことは否定できない」というロジックは見事である。2017/09/02
マエダ
96
動脈、静脈の話になった時には驚いたが、心理の追求がテーマの本書である。”ほかの人から学ぶ場合には、自分自身で発見する場合ほどはっきりものを捉えることができず、またそれを自分のものとすることができないからである。”学ばなければいけないことが多々ある身として、なかなか難しいことを言ってくれている。2016/04/07
syaori
83
デカルトが「どのように自分の理性を導こうと」したかを説明した本。最初に良識(理性)は万人に「公平に分け与えられて」いるもので、大切なのはそれを各々が「良く用いること」だという平等で自律した人間像が描かれます。そしてそのためにデカルトが模索した道が示され、「ワレ惟ウ、故ニワレ在リ」という真理に行き着いたことが語られます。現在の西欧文化の一端はこの「ワレ」から出ているわけですが、その確実性を支えるのは「神の存在を前提にしなければ」と言うとおり神であり、そのことは現在も忘れてはならないことのように思いました。2023/03/15
佐島楓
82
全編を通じて、この文が書かれた背景の知識がなければ理解は難しい。訳文も、指示語が多くて読みにくい。「われ思う~」の下りは一種の感動を覚えたけれど。概説本を読んでみようかな。2018/08/17