感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
24
古代ローマの政治家にして比類なき弁論家として名を馳せたキケローの弁論集。彼の弁論術は後世のヨーロッパに大きな影響を与えた。一読するとまず現代日本人が聞くと弁論家に反発を覚えるのではと思うほどの、弾劾相手に対する悪口(自己アピールの強さも)が凄まじいのに驚くが、ラテン語は多様な罵倒語を擁し、古代ローマには「罵倒の演説」という中傷演説があったそうで面白い。また豊富な歴史的事例の引用や波頭のごとき類似表現の畳みかけ、文の中途に副分や説明句をいくつも連ね文尾でようやく意味を完結させる掉尾文などが特徴である。2021/01/31
Francis
12
10数年ぶりの再読。共和制末期の政治家・弁論家・哲学者のキケローの弁論4つを集める。有名なカティリーナ弾劾演説をはじめいずれも政治の場で行われたもの。カティリーナ弾劾はさすがなのだが、ピーソー弾劾は明らかにやりすぎで読んでいて疲れてくる。もっともローマ共和制下の弾劾演説はこんなものだったらしい。良くも悪くもキケローの人間の強さと弱さの両面が現れているのだが、それがルネサンスのユマニストペトラルカに再評価された理由らしいので再読して正解だったのだろう。2024/04/29
有沢翔治@文芸同人誌配布中
12
古代ローマの政治家、キケローの演説集。(あえて哲学者とは言いません)『カティリーナ弾劾』とか『ピーソー弾劾』とかはヘイトスピーチだよね? 今でいうところの。というわけでヘイトスピーチやりたかったら読むといいよ! インテリ<に見えるし>!2015/09/20
roughfractus02
11
弾劾は罪を追求する断罪ではなく擁護は無罪を主張する弁護ではない。弁論家は法的事実や真理でなく、面前の市民の感情に訴えるために、その言葉に扇動の工夫を施した。アリストテレスは結論を先に語る論理的弁論を重視したが、著者は主語と述語の間に多くの修飾句や目的語を挟んで人々の緊張感を煽り、弁論の対象である相手を挑発し、そして会場全体を煙に巻くような弁論を駆使したことが本書に記される。第二次ポエニ戦争後人々の国内外の往来が激しくなり、法の議論が活発化して、市民法が不安定な時代に修辞が特化する様は、読者の今を思わせる。2022/05/17
CCC
11
論調が一方的で驚いた。まえに『弁論家について』を読んだ憶えがあるけれど、だいぶ印象が変わるなあ。2021/09/25
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