出版社内容情報
茶室をはじめ日本の伝統建築を自らの作品のみならず、自らの建築思想にまで昇華させ、練達の筆によって建築論を展開した堀口捨己(一八九五─一九八四)。内外の作品を徹底研究して得た学識と強い表現を追求する美学が融合したその建築論は、独自の世界観を表現する。孤高の建築家による代表的論文を集録。
内容説明
妥協なき美学が貫く透徹した世界観。孤高の建築家による代表的論文を集録。
目次
設計者の感想 建築の非都市的なものについて
茶室の思想的背景とその構成
現代建築に表われた日本趣味について
新時代建築の神話その他(大島の工事を終わって)
利休と現代建築―三百五十年祭にあたって
妙喜庵の利休茶室待庵
庭園序説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kthyk
13
都市的な建築は見るべきものがないが、非都市的建築は優れた洗練された徹底した伝統を作りあげている、と戦前の堀口捨巳は書く。現代の日本趣味の美は功利の美とは相反する、表現のための構造が合理的満足感を減ずるからである。そして、この建築家は京都の大山崎の待庵に触れ、「茶室は建築そのものの本然の問題をはらみ、事物的な要求を如何に建築的に解いたかを物語る教書」と書く。「現代建築の立場からは利休は実は古いものではなく、新しい知られているのはマンネリズムの中の利休、しかし、まだまだ知られていない未知の人であったのだ。」 2024/09/30
horada
0
***2024/09/16
十文字
0
堀口捨己といえば、分離派建築会を立ち上げたことで有名だが、茶の湯研究、ひいては茶室研究でも優れた実績を持つ。 本書は茶室についての論文を中心とした建築論集。 庭園の論文が興味深い。2023/07/15