出版社内容情報
敗戦の焼け野原から、来るべき都市のグランドデザインをえがく。東京計画1960、東海道メガロポリス構想、大阪万博会場計画など、未来都市を可視化させ、その実現構想を論じた丹下健三の都市論を精選する。壮大なスケールの計画の裏側に、透徹したリアリストの眼が光る。二巻構成のうちの都市論篇。
内容説明
敗戦の焼け野原から、来るべき日本の都市のグランドデザインをえがく。東京計画1960、東海道メガロポリス構想、大阪万博会場計画など、未来都市を可視化し、その実現構想を論じた丹下健三の都市論を精選する。壮大なスケールの計画の裏側に、透徹したリアリストの眼が光る。『丹下健三建築論集』の姉妹篇。
目次
1 都市の再建(建設をめぐる諸問題;明日の都市への展望;地域計画の理論その一 方法論)
2 東京改造計画(MobilityとStability(流動と安定)
技術と人間
東京計画―1960)
3 巨大都市の未来(日本列島の将来像;万国博会場計画―企画から計画へ;「東京・ニューヨーク都市問題シンポジウム」基調講演)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
22
「広島はデルタの上にたつ都市で、多くの美しい川に恵まれ…舟を浮かべ、川辺を散策する権利はすべての市民のものでなくてはなりません…ところが今まで、特殊の商売やごく一部の人たちの邸宅に占有されていた…新しい復興都市計画に際して川沿いの全ての土地を市民に開放するために…永い間ボスと言われてきた人たちと闘い」あの広島平和記念公園をつくることに成功したという。1960年から洞察された人口流動に着目した「東海道メガロポリス」プランは、21世紀にも引き続き京都大阪徳島などへ移転される官庁というかたちで続いているのかも。2022/08/17
ああああ
5
しかし、自分自身の固有性を示そうとする欲求は、人間にとって本質的なものであります。そこで現在人々は、自分自身をアイデンティファイするために、馬鹿げた気狂いじみた広告に頼っております。とにかく、人間にしろ物質にしろ、この普遍性ということと、自己の固有性を示すという本来の欲求、あるいは匿名的であるということと、それが何であるかということが理解しやすいということと、そういう二つの両極のものが共存しております。それもやはり現代の文明社会のジレンマの一つの特徴だろうと思います。912023/11/09
不純文學交遊録
3
東京都庁舎で知られる世界的な建築家、丹下健三。悪しきハコモノ行政の代名詞のように思っていたが、NHKラジオアーカイブスで「都市の裏側は住民がつくる」と話す肉声を聴いて、改めて彼の都市計画に興味をもった。畑中章宏さんの『五輪と万博』を読んだことも大きい。臨海副都心計画の嚆矢といえる東京計画1960、東海道メガロポリス構想など、そのスケールの大きさに圧倒される。戦後日本の高度経済成長は、彼ぬきでは成し得なかっただろう。被爆地・広島市の復興計画で、地域ボス(ヤクザ?)との闘いがあったとの話がリアルだ。2021/11/21
yokkoishotaro
2
建築論に続いて読んだ。建築や都市をメタ的にとらえたことがなかったので、大変興味深かった。メトロポリスーエクメノポリスとメガロポリス的な日本列島の捉え方は大変面白かった。2023/03/15
1
図ばかり見る東京計画1960が読みたくて購入。丹下の意識は、東京の交通網(特に道路)が貧弱、1000万人都市は100万都市とは根本的に違う、放射状はダメで線上に、といったもので、社会的で、元祖日本列島改造論のようだ。丹下の各論の案を実現するには公による強い改革主導が必要だが、日本の地権者の強力さ、資本主義に負けた感じがある。そして結局東京は、既存都市の延長線上でなんとかなってしまった。もっとも、東京は中心がvoidなので山手線を線と見ることはできるかも。皮肉にも地方都市の方が線上に発達している2024/07/22