出版社内容情報
終生,葛飾北斎を師と仰ぎ,幕末から明治中期にかけて活躍した反骨の絵師河鍋暁斎(一八三一―八九)の戯画集.頑固な旧弊と皮相な文明開化を痛烈に諷刺した暁斎の戯画には,健康な笑いと新しい時代の息吹がみちあふれており,当時,東京名物の一つとして人気を博した.『安愚楽鍋』の挿絵をはじめ代表作を満載.略年譜・挿絵本年表を付す.
内容説明
葛飾北斎を師と仰ぎ、幕末から明治中期にかけて活躍した反骨の絵師、河鍋暁斎(1831‐89)の戯画集。頑固な旧弊と皮相な文明開化を痛烈に諷刺した暁斎の戯画には、健康な笑いと新時代の息吹があふれ、当時、東京名物の一つとして人気を博した。代表作を満載。
目次
1 文明開花万華鏡―暁斎と魯文
2 反文明開花万華鏡―暁斎と応賀
3 暁斎挿絵の世界
4 暁斎版画・版本の世界
5 暁斎肉筆画の世界
解説(叛骨の絵師河鍋暁斎とその戯画;河鍋暁斎略年譜・挿絵本年表)
感想・レビュー
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ネギっ子gen
48
北斎を師と仰いだ暁斎(1831-89)の戯画集。代表作が満載で、旧弊と皮相な文明開化を諷刺した反骨の絵師の世界を堪能。略年譜・年表も。解説で、<暁斎は生存中から外国の美術愛好家に注目されていた。/大量の作品を海外に持ち去った結果、暁斎は正当な評価を受けぬまま、近世美術史と近代美術史のはざまに置き去りにされて来た/世界各地の美術館に一千点を越す暁斎の本画、下絵、版画、版本が収蔵されて来たために、大震災も第二次大戦の空襲も免れることができ、今日なおその全貌を知ることが可能なのである>と。日本漫画のDNAよ!⇒2024/05/11
藤月はな(灯れ松明の火)
9
ビゴーの風刺画は列強に追いつこうと背伸びをする日本人に対して見下げている列強の驕りというものがありますが河鍋暁斎の絵は開国に肯定、批判とどちらの論にも絵を描きながらも一方の考えに拘泥せずに飄々として思い通りの絵を描いている自由さがあります。「不思議の国のアリス」の挿画で熱狂的なファンもいるテニエルの絵を見事に換骨奪胎し、時勢や驕りを軽やかに笑いつつも実は底抜けにリアリストというような面も覗かせていて凄い人だったのだなと思わずにはいられません。2011/11/16
モリータ
6
先月の美術手帖が暁斎特集みたいですね。三井美術館で今やってる暁斎展行くぞ〜2015/08/20
あんどうれおん
4
多岐に渡る活躍ぶりに圧倒される作品集。現代的な感覚ではなかなか読み解きにくい寓意や背景などを丁寧にすくい上げた解説に助けられる良書です。2020/10/12
澤水月
4
このミス1位取った時の平山夢明をふと連想。国の博覧会で1等なしの2等入選、「上手いが俗っぺー。ちゃんと描きゃ実力あるのに認めがたい」てなことを事実上最高賞なのに評されたという辺りで…。根っからの絵師、文明開化賛成派の文にも反対派の文にもある意味節操無くだがしたたかに自らの筆を思うさま振るった挿絵を提供、国内よりむしろ海外で熱狂的に受け入れられた経緯もよく見渡せる。枠をあえてはみ出す作画は現代の漫画にも通じる。影絵まで描いていたとは知らなかった2009/11/18
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- 和書
- 錆びた騎士