内容説明
一七世紀末の海賊が残した驚くべき手記。カリブ海、南米、フィリピン、中国など世界の海を渡り歩き、敵船拿捕、都市襲撃といった私掠活動を重ねる。つねに危険と背中合わせの航海の様子と、寄港した土地の自然や風俗を、厳密な観察眼でつぶさに記す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
52
作者のダンピア氏は英国の私掠船員として活動した人物で、本巻の舞台は西インド諸島と南米大陸。当時の南米はほぼスペイン領で、私掠船のお仕事はスペイン商船や植民都市を襲撃すること。そんな海賊活動も手に汗握るのですが、本書の魅力は冒険者・生活者の目線で描かれる現地の気候や風俗、動植物についての記述ではないかと思います。港や風の様子のほか、フラミンゴやマナティーの生態、味についてまで語るので、未知の土地へのロマンを掻き立てられるばかり。世界を「もっと知り」たいという理由で船を乗り換え、東南アジアを目指して次巻へ。2019/08/26
ひでお
8
17世紀の私掠船の乗組員の手記です。驚くのは非常に細かい観察眼。海はもちろん、集落や植物、動物の描写はみごとなものです。この時代の航海技術の高さも驚きでした。一方でコロンブスの時代から200年で南米がすっかりスペインに支配されていたことや、黒人が奴隷として使役されていることも、あらためて思い知らされます。下巻も楽しみ。2025/01/20
がんもどき
5
主に南北アメリカ大陸を舞台に私掠船の一員である著者が体験したことを記した記録。要は海賊なので陸上の街を見つければ襲い、畑があれば収穫物を奪い、牧場があれば牛を殺し、やりたい放題している。未開の土地で体験した珍しい動植物の主に味に関する記録が読んでて楽しい。アメリカ大陸が舞台である以上、敵役として出てくるのはスペイン人でポルトガルとはいさかいを起こしていないことが分かる。2021/08/22
Tomozuki Kibe
4
漫画「ダンピアのおいしい冒険」が売れているので再版かかる。わしもそれで知って購入。著者であり主人公であるダンピアは17世紀の人物。世界を知るために私掠船の航海士になり、カリブ海から太平洋をまたにかけてスペインと戦い、略奪に参加し、何よりも食う。漫画タイトルにあるが、ともかくこの本の眼目は食べ物の解説。グアバやアボカドならいいが、サメの料理方法・イグアナの食い方。それもやたらうまそう。ウミガメを絶滅危惧種にしたのはこいつらだ。ともかく前半読了。ダンピアたちの航海はまだ続く。2022/09/25
Decoy
3
血湧き肉躍る大冒険活劇を期待していたら、違った。未知の世界の地理・動植物・食べ物などの、詳細な報告書という趣き。知的好奇心が旺盛過ぎて、海賊とは思えないほどだが、スペイン相手に結構ドンパチやっている。記述が淡々としているから、すっと読み流してしまうが、いつ死んでもおかしくないくらいに危険…。2022/12/22