出版社内容情報
スペインによる新世界の征服/支配の正当性を否定し、先住民インディオの自由と人権を訴えつづけたラス・カサス(1484-1566)最晩年の論策。新大陸で略奪行為を働いたすべてのスペイン人たちを糾弾し、先住民にたいする賠償義務の履行方法を具体的に提示する。当時のスペイン人植民地社会を震撼させた警世の書。
内容説明
スペインによる新世界の征服/支配の正当性を否定し、先住民インディオの自由と人権を訴えつづけたラス・カサス最晩年の論策。新大陸で略奪行為を働いたすべてのスペイン人を糾弾し、先住民に対する賠償義務を数多の神学・法学理論に拠り説き明かし、その履行をつよく訴える。当時のスペイン人植民地社会を震撼させた警世の書。
目次
1 疑問(カハマルカの財宝について;貢租の査定が実施されていなかった頃について;初めて貢租の査定が実施された頃について;現在、ペルーで実施されている貢租の査定について;エンコメンデロと関わりのある人たちについて;金鉱山と銀鉱山について;墳墓に副葬された財宝について;グァカへの供物について;インガのチャカラについて;クスコ占領について;インガの支配権について;一部の兵士が申し立てている良心について)
2 ラス・カサスによる回答(諸原則;回答(結論))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
14
コロンブスを別にすればこの時代の人で知っているのは、インカ帝国を征服したフランシスコ・ピサロ、悪名高いエルナン・コルテス、そしてラス・カサスしか知らない。全員が悪党だと思っていたが、ラス・カサスはドミニコ会宣教師で、本書は彼のスペイン人に対する膨大な告発書だ。ありとあらゆる宗教書、「出エジプト記」「マタイによる福音書」などを引いて、いかにスペイン人が残虐で非人道的なことをしたか、手ひどく告発している。先住民は偶像崇拝者で異教徒だったため、まるで犬のように扱って生命を奪っても罪にならないと思っている。2024/04/09
cochou
1
COPで先進国と途上国の対立を見ていると、いまだ世界はラス・カサスが追求した問題を抱えている。2024/11/25
サン・アラド・ルノー・ジェルジェンスキー
1
「各人に各人のものを」という簡潔な原理を徹底することが、いかに難しいかを突きつけられる。ラス・カサスが征服の違法性を訴えて500年近いが、今日まで僭主の出現と簒奪が止まなかった歳はない。ヴィクトリア女王にしろ明治天皇にしろ、他者の王冠を被って恥じることがなかった、地獄行きであろう。2024/07/30
amanatsu
0
「ラス・カサス」全然知りませんでした。図書館の新刊コーナーで出会って、読了。昔、南アメリカ大陸に上陸したスペイン人は、インディオの王を騙して殺害、その金や財宝を奪い、インディオ達を奴隷として酷使・・・といった程度の浅薄な知識しか無かったので「スペイン人=悪い奴ら⇒同時代の欧米列強国人も似たようなもの」という図式が頭の中に出来上がっていたので、タイトルに惹かれて読んでみた。「訳者・染田秀藤」のこともちっとも知らなくて、自分の不勉強振りを認識。同じ訳者の著書と、この分野の書物にも興味が湧きました。2024/08/08