内容説明
一五〇一年に始まる十年間を扱うこの第二巻は全三巻中特別の位置を占める。一五〇二年に着任した新総督は、征服戦争を拡大し、島民の分配をエスパニョーラ島全域に拡げてゆく。彼らが被った悲惨さが、現場に立ちあった人間ならではの筆致で明るみに出される。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
3
苛酷で永続的な奴隷の状態(24ページ)。抑圧と苦悩、恐怖と苦痛。そして虐待を受けつづけて精神活力が減退し、気弱な臆病者となり、いつもおとおど、みじめで辛く苦しい・・・。今年は親族を殺害して自分も獄中自殺した鬼のばあさんがいたが、ああいう事態と植民地帝国主義は似た行動原理なのだろうか。謙虚は美徳に一段と輝きをあたえる(30ページ)。心に銘記したい。「原住民たちに不安をあたえ、荒らしまわり、混乱に陥れ、略奪と殺害と捕獲をおこない、破壊しつくす」(395ページ)とは、植民地帝国主義の恐ろしさ、惨たらしさの醜悪。2012/12/24