出版社内容情報
イギリス初代駐日公使オールコックの滞日三年の記録.多難な幕末期の政治・外交をこれほど鋭く詳細に,かつ網羅的に記した書は他にない.のみならず日本の歴史に精通していた著者は,日本人の生活・社会・文化を驚くべき視野の広さで観察批判している.単なる研究資料でなく文明批評の書として読めば今日でも多くの示唆に富む.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツカモトカネユキ
1
1962年訳発刊。上巻より。相変わらず読みづらい文に悪戦苦闘。多くの制限のなか敢行された富士登山、横浜長崎間の記録は大いに興味を惹きます。いつも身の危険にさらされながら孤立無援のなか奮闘する数年間はいかほどのものかと感じます。役人は、程度の差はあれ、基本的に今も変わらないことを思い知らされます。こういった悪習は今も脈々と続いているのだと感じます。また、二枚舌政策も、昔からはびこる事実は悲しくなります。その後も似たようなものですが、封建制度が幸せであったとは思えない内容です。下巻に続きます。2021/01/27
TSUYOSHI_K
1
中巻では桜田門外の変、下巻では英国公使館への襲撃があったことを記している。オールコックからすれば当時の日本はテロリストがうようよしている国だったのだろう。現代の我々はその後の歴史を知っているが、当時はまだ幕府が滅亡に向かっているとも知らず、攘夷の遂行が正義と考える武士が多かったのだろう。自分がその時代に生きる武士だったらどうしていただろうか。国の未来をどのくらい予見できただろうか。2018/04/17