出版社内容情報
他力念仏により極楽浄土に往生することを説く浄土宗.その開祖法然上人は2011年には800年忌を迎える.(下)は巻28以下,浄土宗への様々な弾圧・迫害,上人の死へと続き,巻43以下は重源ら高弟たちの記録.(全2冊).
内容説明
自力ではなく、他力念仏によって極楽往生することを説く、浄土宗の開祖法然上人の伝記。下巻には、巻二十八から巻四十八までを収める。巻三十までは上巻にひき続き様々な人々が法然上人に帰依していった経緯。以下、浄土宗への弾圧、迫害、上人の死と続き、巻四十三以降は、重源ら高弟たちの記録が記される。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
14
下巻での山場は法然上人の流罪。のはずなのだが意外とさらっと流されて終わっている。上人の生涯の中で一番大変な事件だからもう少し色々と触れても良さそうなものだが。死去についても同じことが言える。その代わり弟子たちの消息は、微に入り細に入り詳しく書かれている。やはり浄土教の教えを人々に伝えるべく作られたものだから仕方ないのかな。そういう意味ではとてもわかりやすく作られていた。2012/03/30
壱萬参仟縁
5
脚注がない部分はかなり苦労する。現代の「七珍万宝」(71ページ)は何か。当時は、金・銀・瑠璃・硨磲(しゃきょ?)・赤珠・瑪瑙(めのう)らしいが、金は今年の漢字に選ばれた。金(色)の人生とは何かと思う。社会が金とはどういう姿か、とも。円融とうのは重要に思った(237ページ)。脚注によると、それぞれのものが、その立場をたもちながら完全に一体となり、たがいに融けあい妨げのない教え、とのこと。融和しながら組織や集団を維持しにくいエゴの衝突がビジネスの世界にある一方、市民社会ではこの融和が必要となる、板挟みの現代。2012/12/20
はるたろうQQ
2
妙好人が沢山出てくる。多くの者が不審なことがあると法然上人に手紙を出している。上人はそんな質問にも懇切丁寧に答えている。その返事は称名念仏の確信と信者に対する慈愛に満ちている。返事を貰った者やその子孫は大切に保管して、この絵伝を作成する際に広く集められ、内容を豊かにした。津戸三郎は上人が讃岐に配流された時も遥か遠い武蔵国から書状を出し、また上人からの文を錦の袋に入れて肌身離さずに持っていたと言う。直情径行なくせもの=変わり者の熊谷直実と上人の関係も中島敦の「弟子」における孔子と子路との関係を彷彿とさせる。2020/06/19