出版社内容情報
「武士道はその表徴たる桜花と同じく,日本の土地に固有の花である」.こう述べる新渡戸(一八六二―一九三三)は,武士道の淵源・特質,民衆への感化を考察し,武士道がいかにして日本の精神的土壌に開花結実したかを説き明かす.「太平洋の懸橋」たらんと志した人にふさわしく,その論議は常に世界的コンテクストの中で展開される.
内容説明
「武士道はその表徴たる桜花と同じく、日本の土地に固有の花である」―こう説きおこした新渡戸(1862‐1933)は以下、武士道の淵源・特質、民衆への感化を考察し、武士道がいかにして日本の精神的土壌に開花結実したかを説き明かす。「太平洋の懸橋」たらんと志した人にふさわしく、その論議は常に世界的コンテクストの中で展開される。
目次
道徳体系としての武士道
武士道の淵源
義
勇・敢為堅忍の精神
仁・惻隠の心
礼
誠
名誉
忠義
武士の教育および訓練
克己
自殺および復仇の制度
刀・武士の魂
婦人の教育および地位
武士道の感化
武士道はなお生くるか
武士道の将来
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
129
「ベストセラー以外の本も読んでみなさい」と言われて手に取ってみました。新渡戸稲造によって英語で書かれて翻訳された本。最初っから最後まで日本語でも書いて欲しかったと何度も思いました。翻訳だから読みにくいのか、内容が難しくて読みにくいのか…この本を理解できる人は相当な読解力があると思います。武士道とは義(正義の道理)と勇気(勇とは義しき事をなること)、仁(人を治むる者の最高の必要条件は仁に存する―仁とは人なり。仁は柔和なる徳)、礼(社会的地位に対する正当なる尊敬)、誠、名誉、忠義と理解しました。2020/01/14
s-kozy
60
娘にクリスマスプレゼントにあげた本。彼女は「面白かったよ」と1日で読み終えていた。これがなにがしかの影響を彼女に与えているのならいいね。2020/01/13
goro@一箱古本市5/5
50
うむ~。士農工商の上に立つもののはこうであるとの見解であるか。何故に他との比較や例えを出さねばならなかったのか。これは世界に武士道とは何かを説明するためのものであって自分が求めていたものとは違ったというのが偽りの無い感想です。理解を深めるために現代語訳「武士道」を次に読みます。2016/06/24
壱萬参仟縁
49
原著の英文はカーライルの影響の著しく認めらるる文体(4頁)。武士道(シヴァリー)は力と美との活ける対象である(25頁)。Chivalry は騎士道(horsemanship)より含蓄あり。武士が職業や生活で守るべき道。武士の掟、武人階級の身分に伴う義務(ノーブレッス・オブリージュ27頁)。ラスキンは最も心柔和にして平和を愛する人の一人であった(31頁補注1)。知識はこれを学ぶ者の心に同化せられ、その品性に現われる時においてのみ、真に知識となる。知識は、叡智獲得の手段として求むべきである(37頁)。2016/07/07
molysk
47
新渡戸稲造は、明治から昭和初期にかけての教育者。札幌農学校でクラークの薫陶を受け、キリスト教に入信。米国の地で本書を著す。本書は、武士道の起源とその特性、民衆への影響とその永続性を論ずる。刊行の明治32年は、日清・日露の戦間であり、未だ世界の日本への認識が乏しい時期。日本の道徳観念を形成するは武士道である。新渡戸の主張は、西洋の歴史、宗教と文学への深い造詣に裏打ちされ、世界の読者に訴えかける。国際理解と世界平和に尽力し、「太平洋の橋たらん」とした新渡戸は、その生涯をもって、武士道を体現したと言えないか。2019/08/10
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