出版社内容情報
イワン雷帝の暴政のもと,あくまで正義と純情に生き抜く白銀公爵とモスクワ第一の可憐な美女を中心に,妖術師,青年貴族,義賊,佞臣等が入り乱れての大ロマン.作者が史実の考証に10年の日時を費したこの小説は,ロシア文学の「ロビン・フッド」と称され,明るい,面白い,変化に富む物語である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
40
GWですので、活字の本と並行して『鬼滅の刃』を読んでいたのですが、この小説もかなりジャンプ的だなあ、と。暴君はもちろん、ヒロインは攫われるし、決闘裁判はあるし、ナルシストの奸臣は出てくるし、魔法はあるしで、完全に少年マンガの世界です。一切退屈する暇なく怒涛のストーリーテリングで読ませるし、新訳や重版があってもいいのかな、と思います。2020/05/04
syaori
33
皇帝に忠誠を誓う清廉で一本気な公爵は、皇帝の暴虐とどう折り合いを付けるのかとやきもきする下巻。上巻でも権力者として絶対を求め、息子を殺すことも厭わない暴君ぶりを見せ付ける反面、罪の意識に苛まれ神にすがる皇帝の姿はとても印象的でしたが、下巻でもこの一筋縄ではいかない皇帝が物語の一方を支えている印象があります。「今の世に誰が仕合せで居られませう?」という言葉が時代の空気を伝えていて、公爵も暴君も、立ち回りの上手いペレスチェンやとぼけたミヘーイチも、すべてが遠くなっていく終章には歴史の重みと余韻を感じました。 2017/01/20
きりぱい
7
翻訳は古いけれど、大衆小説の味わいで惹き込まれてゆく歴史ロマンの下巻。ロマンスもからんでいたのに、そちらはちょっと不完全燃焼。セレーブリャヌイがもっと魅せてくれるかと思ったのに、清廉すぎて融通のきかないところに苦笑い。その代わり脇役が多彩。皇帝イワンなど、後半モロゾフをはずかしめるくだりからは、その烈しい性格の暴虐ぶりで『クオ・ヴァディス』を彷彿とさせ、反対に慈悲深いところも見せたいなど抜け目ない心理がいやらしくうごめく。登場人物がほぼ実在の人物というのもリアルな歴史の一面として興味深い。2011/12/26
isbm
1
★★★2021/07/05
ELW
0
ボリス・ゴドゥノフが帝位に就くのも宜なるかな。2022/12/28
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