出版社内容情報
イワン雷帝の暴政のもと,あくまで正義と純情に生き抜く白銀公爵とモスクワ第一の可憐な美女を中心に,妖術師,青年貴族,義賊,佞臣等が入り乱れての大ロマン.作者が史実の考証に10年の日時を費したこの小説は,ロシア文学の「ロビン・フッド」と称され,明るい,面白い,変化に富む物語である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
37
すごく好みのタイプの小説。イヴァン雷帝の時代、リトアニア戦線から帰ってきたセレブリャーヌィ公爵は、横暴な親衛隊が幅をきかせ、雷帝に逆らうものは処刑される恐怖政治を目の当たりにした。雷帝に忠誠を誓いながらも民衆を苦しめる親衛隊をよしとしない公爵のかつての恋人は、雷帝の寵臣により誘拐され。。。「ずっとお慕いしておりました」とか、現代文学なら寒気がしそうなセリフも没入して読めてしまうのが、歴史小説の良いところですね。なお、このトルストイはあのトルストイではありません。下巻へ。2020/05/01
syaori
29
舞台はイワン4世(雷帝)時代のロシア。リトワニヤへ派遣されていたセレーブリャヌイ公爵が、皇帝の親衛隊が勢力を振るうモスクワに帰ってきたところから始まります。清廉な公爵を主人公にマリュータ・スクラートフ、ボリス・ゴドゥノフや貴族の力を削ぎたい皇帝に蟄居を命ぜられる誇り高い貴族モロゾフなどの実在の人物たちに義賊ペレスチェンや水車小屋のまじない士などの架空の人物が絡んで、恋に決闘に権力争いにと息つく暇もありません。人妻になったかつての恋人が彼女に恋慕する親衛隊士に誘拐、立ち向かった主人公は捕らえられて下巻へ。 2017/01/19
きりぱい
10
トルストイにこんな隠れた作品が!?とよく見たら、A・K・トルストイ。トルストイだけれどトルストイでない?なんだよもーと本棚に戻しかけたけれど、借りてよかった。まだ上巻だけれどかなり面白い。新しい人かと思いきやレフより少し古く、調べると又従兄弟だとかいうのも出てくるけれど、本書では無関係とあって・・。恐怖政治を行ったことで雷帝と呼ばれたイワン四世の時代。陛下に傾倒する青年貴族セレーブリャヌイが五年のリトワニヤ駐在から戻ると、皇帝は激変し国政は正義の通用しないでたらめなものになっていた!2011/12/25
quinutax
1
タイトルと作者名から幻想文学と思って読み始めたら、イワン雷帝の狂気とそこに立ち向かう公爵の冒険活劇であった。中村融さんの翻訳が素晴らしい。当時の民衆や盗賊、ロシアの匂いが立ちこめていてわくわくする。下巻も楽しみ。2019/04/02
ELW
0
ロシア版『アイヴァンホー』になるかもしれない。しかし、主人公はあまり活躍していない。モロゾフさん可哀想。 2022/12/17