内容説明
被爆者の思いを世界に伝え、平和をつくりたい。著者は、広島で翻訳・通訳の仕事をするなかで被爆者と知り合い、深い影響を受けた。その後平和活動に取り組み、外国人として初の広島平和文化センターの理事長になった。自らの半生を振り返りながら、被爆者への思い、全米113都市で開催した原爆巡回展の思い出、そして、世界平和のリーダーとしての日本への期待を語る。
目次
第1章 日本との「ご縁」
第2章 ヒロシマを世界に伝えたい―全米原爆展(1)
第3章 アメリカ人とヒバクシャ―全米原爆展(2)
第4章 核兵器をなくすために
第5章 核兵器禁止条約をつくる
エピローグ 「戦争文化」から「平和文化」へ
著者等紹介
リーパー,スティーブン[リーパー,スティーブン] [Leeper,Steven]
1947年、アメリカ・イリノイ州生まれ。2007年、外国人として初めて広島平和文化センター理事長に就任(~2013年)、全米における原爆展の開催や核兵器廃絶をめざす「2020ビジョンキャンペーン」など、広島から世界に向けて核兵器廃絶を訴えてきた。現在は、広島市郊外に「平和文化村」を開設。広島女学院大学、長崎大学、京都造形芸術大学の客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オサム兄ぃ
7
冷戦終結後も大量の核兵器があり、北朝鮮暴発やパキスタン政府崩壊など核戦争勃発懸念は高まっている。著者は原爆投下が戦争を終わらせた、と考える「普通のアメリカ人」であったが「ご縁」により被爆者等と交流を深め、今は広島平和文化センター理事長としてヒロシマを世界に伝えている。本書の「全米原爆展」は貴重な報告だ。「これはお涙頂戴の会じゃないのか」という高齢の退役軍人との対話は深く考えさせる。埒が明かない核廃絶の道が、「核兵器禁止条約」の新枠組みが大事な局面にある。日本は自国が勝負を決める大きな存在と再認識すべきだ。2016/03/06
そーすけ
5
215*広島平和文化センター理事長となったアメリカ人、よる著作。全米原爆展の様子が興味深かった。アメリカ人も、加害の歴史に向き合えないのだよな。とくに保守的な地域は。核廃絶に後ろ向きな日本国政府は、本当にどうしようもない。戦争文化から、平和文化へ。2019/08/12
Noboru
1
核抑止論の錯誤に対する記述や、「戦争文化」から「平和文化」への章は考えさせられる事が多かったです。核の傘の下にいる日本も問題であると思いますが、なにより「自分たちの国は核兵器を保有しますが、他の国が持つことは許しません」といった考えの常任理事国のやり方がなにより納得のいかないものです。2016/03/09
めっかち
0
岩波書店のような左翼は、いわゆる「従軍慰安婦」やいわゆる「徴用工」に関しては「過去への反省」を口にする。が、日本が被った原爆投下や無差別爆撃は「過去のこと」として、未来を語る。これだから反日と言われるのだ。別に私も「米国は賠償しろ! 教科書に書いて子供たちに教えろ!」と韓国のようなことをせよと主張する訳ではない。ただ、無差別かつ非人道的に民間人が虐殺された事案をこうも簡単に書くのは間違っていると思う。2020/03/24
call
0
元平和センター理事長による本。後半は見慣れた反核兵器論という感じだが、前半のアメリカでの講演録は興味深かった。まず、著者とヒロシマとのご縁を述べている。次に全米原爆展での経験を述べている。そして核兵器廃絶への道のりを示している。私は広島の公立校で小学校から高校までを過ごしたので、著者が「小学生は純粋すぎる」ので講演を控えたという部分が印象的だった。広島の平和教育では当たり前のことかのように小学生に反核が教えられているが、反核を絶対化するだけでは反核が難しい理由などを冷静に見ることができないのではないか。2017/04/23