出版社内容情報
「ルーヂン」で40年代人を,「父と子」で50年代のニヒリストを描いた作者は,この作品に70年代のナロードニキ青年をとりあげる.ハムレット型のネジダーノフ,理想への固い信念を失わないマリアンナ,地味だが着実なリアリスト,ソローミンを中心に,かれらの「ヴ・ナロード」の運動,恋が流麗な筆致で描かれる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
twinsun
7
ナロードニキの青春。血気にはやるか不決断の者は斃れてゆき、冷徹な現状認識が眼前の正邪や利害をやり過ごして未来を透徹するが、男女間の激情には打ち克つことがない。こうした書が出現した当時のロシアの爆発的な思想の展開と社会変革の息吹がふつふつと湧き上がってくる他、変わることなき烏合のロシア民衆の愛情深き隷属ぶりが鮮やかに描かれていた。2023/09/28
てれまこし
2
革命家とは矛盾である。ロマン主義的な情熱を抱きながら、現実を見つめなければならない。「である」と「であるべき」に挟まれて、ハムレットのように悩み苦しみ立ちすくむか、ドン・キホーテのように猪突猛進するか。クロポトキンのツルゲーネフ評によれば、彼はドン・キホーテを尊敬したが、愛したのはハムレットであった。未来は理想を抱きながらも漸進主義者のソローミンの手にある。その成果を自らは享受することはできないと知りながら、地道に生産的に生きる庶民こそが進歩の主体である。しかしツルゲーネフが愛したのはネジダーノフであった2017/12/25
刳森伸一
2
ナロードニキ運動に参加する革命的な人々を描いたツルゲーネフ最長の小説。革命に突き進む者、冷静に世情を読む者、革命に殉じながら革命が信じられない者、革命を美化する者など同じナロードニキに参加する者でもその様相は様々でそれを描ききるツルゲーネフは秀抜だと思う。2013/07/30
KUMAGAI NAOCO
1
ロシアの文豪ツルゲーネフの最後の長篇小説。貴族の庶子として育った主人公ネジダーノフが、家庭教師として行った先で出会った娘マリアンナと恋をし、理想を共に家を出て庶民の生活に飛び込んで行くという流れで、当時のナロードニキ運動についてうかがい知る事ができる。ハムレット的主人公に苛つきそうな回りの気持ちも判らなくもないし、マリアンナがオフィーリアにならずに済んで良かったなとも思う。2024/05/25