岩波文庫
ディカーニカ近郷夜話 〈前篇〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 224p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003260579
  • NDC分類 983
  • Cコード C0197

出版社内容情報

「いま,近郷夜話を読み終えた.これは素晴しいものだ! これこそ真実の面白さで,とり澄ましたりもったいぶったりしない自然のままの天真爛漫な面白さだ!」プーシキンをして一読三嘆せしめたのが,ゴーゴリ(1809‐1852)のこの処女作集である.これは明るく香わしい小ロシアの田園詩であり,永遠に歌い踊るウクライナ農民の笑いの交響楽である.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

56
ウクライナはディカーニカ近郷に住む蜜蜂飼ルードゥイ・パニコーの≪夜会≫で語られた物語、という趣向。農作業が終わった冬の夜、集まってきた仲間たちが暖炉の周りで語る「珍談奇話」を集めた物語。語られるのはウクライナの農民たちの生活。そこには農民やコサックがいて、人妻は亭主の留守に男を引き込み、年頃の男女が恋を語らうといった暮らしがあって、悪魔や妖女も生活の一部のように表れます。そんな化生のモノが人にだしぬかれ、逆に若者を破滅させという豊かで、滑稽で、恐ろしい物語に気付けば夢中。次の物語に心躍らせながら後篇へ。2019/08/05

やいっち

23
ゴーゴリが若いころ(22か23歳)に書いた作品。ウクライナの生まれのゴーゴリは、母らに郷里の風俗や伝説、果ては女性らの服装、結婚風景などを聞きまくり、民話風の話を仕立てた。ゴーゴリというと、『死せる魂』や『検察官』など、自然主義の作家というイメージが濃いが、本作は、極めて土俗的な、それでいて超自然的幻想味たっぷりの、ユーモアのある作風である。悪魔や妖女の類が民衆の間に普通に信じられている、そんな世界への馴染みがやがて、傑作「ヴィイ」に結実する。本作は妖怪ものでは、筆頭に挙げていい作品である。2018/09/19

fseigojp

21
ドストエフスキーは農村をほとんど描かなかったが、ゴーゴリの精神を一番うけついでいるのが本書でよくわかる2017/10/31

Ribes triste

15
ウクライナの田舎で、夜にペチカの周りに集まった近所の人たちが手間仕事をしながら物語を聞く姿が思い浮かびます。まるで落語か講談を聞くような、おとぎ話のような物語です。妖女や悪魔が登場したり、美味しそうな料理が出てくるのもロシアならではの面白さ。趣きある旧字体と旧かなづかいの文体を、しばらくぶりに楽しんで読みました。2019/05/18

ミコヤン・グレビッチ

7
悪魔や妖女が出てくるような民話っぽい話を、前後編(上下巻)に4話ずつ、計8話収録。前後編に架空の著者「蜜蜂飼いのルードゥイ・バニコー」のまえがきがあるのだが、これがまた「田舎のおっさんの話って、こうだよね」というツボをとらえていて面白い。本編では、長くて複線的な構成の話は完全客観で書かれ、短めで単純なものはある爺さんの語りとして、スタイルを使い分けている。また、叙述に忠実で具象的な挿絵が数多くあり、読み手の想像力を大いに助けてくれる。若きゴーゴリの出世作だけあって、ただの民話集には(以下、下巻の感想へ)2022/06/14

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