出版社内容情報
夢と狂気の領域に文学の世界を切り拓き,フランス幻想文学の祖とあおがれるノディエ(一七八〇‐一八四四)の傑作アンソロジー.入れ子のように次々と重なってゆく悪夢を描いて読む者を感覚の迷路へと引きずりこむ「スマラ(夜の霊)」,愛すべき妖精と美しい人妻の哀しい恋の物語「トリルビー」など六篇を精選しておくる.
内容説明
夢と狂気の領域に文学の世界を切り拓き、フランス幻想文学の祖とあおがれるノディエ(1780‐1844)の傑作アンソロジー。入れ子のようにつぎつぎと重なってゆく悪夢を描いて読む者を感覚の迷路へと引きずりこむ「スマラ(夜の霊)」、愛すべき妖精と美しい人妻の哀しい恋の物語「トリルビー」など6篇を精選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Major
35
【大人の童話】第5位『スマラ(夜の霊)』『トリルビー』(ノディエ )『ノディエ幻想短編集』(岩波文庫)所収。ー 古本屋で手に入れたまま、本棚隅っこの奥まった幻想世界の暗闇に居座っていたのを、十数年前に読書会課題本の現実舞台に引っ張り出して読了した1冊。6編収められているが、フランス幻想文学の創始者と言われる作家の著作だけあって、どれもこれも怪しく恐ろしくも美しい話ばかりである。『スマラ(夜の霊)』、『トリルビー』がよい。→ 2025/01/02
Major
26
数年前に古本屋で手に入れたまま、本棚隅っこの奥まった幻想世界の暗闇に居座っていたのを、最近読書会課題本の現実舞台に引っ張り出して読了した1冊。6編収められているが、フランス文学における幻想文学の創始者と言われる作家の著作だけあって、どれもこれも怪しく、恐ろしくも美しい話ばかりである。『スマラ(夜の霊)』、『トルルビー』がよい。『スマラ(夜の霊)』については、その幻想世界の絵画的・映像的なイメージにこちら側が追いつけていけているのかが多少不安になるほどの幻想世界の圧倒的な描写力に感嘆した。(コメントに続く)2014/03/01
Major
18
数年前に古本屋で手に入れたまま、本棚隅っこの奥まった幻想世界の暗闇に居座っていたのを、最近読書会課題本の現実舞台に引っ張り出して読了した1冊。6編収められているが、フランス幻想文学の創始者と言われる作家の著作だけあって、どれもこれも怪しく、恐ろしくも美しい話ばかりである。『スマラ(夜の霊)』、『トルルビー』がよい。『スマラ(夜の霊)』については、その幻想世界の絵画的・映像的なイメージにこちら側が追いつけていけているのかが多少不安になるほどの幻想世界の圧倒的な描写力に感嘆した。3つのコメントへ続く2017/08/30
かりさ
15
なんて魅惑的な幻想物語なのだろう。狂人、怪物、亡霊、妖精…人間世界にあり得ないもの、見えるはずのないものの存在が幻想世界をより狂気に導き特異なものにしている。現実の中の悪夢と幻想、夢の中の夢、という入れ子の感覚に迷い、幻惑されてゆくのが心地良い。幻視者であったノディエの描く光と闇、現実と悪夢、狂人の棲む幻想世界から離れがたくいつまでもゆらゆら漂い、時にその深さに溺れるのです。「夜の一時の幻」「スマラ(夜の霊)」「青靴下のジャン=フランソワ」が好き。2012/01/11
evifrei
13
フランス革命の時期を生き、フランスにおける幻想文学の祖となったノディエの短編集。夢や狂気の領域を描き出すと共に、キリスト教文化圏ならではの聖母や悪魔の存在を織り込んだ作風がとても面白い。個人的には『トリルビー』・『ベアトリックス尼伝説』の二作が特に気に入った。靄のかかったような筆と、低めのテンションを特徴とする幻想文学作家だ。染み入るようなゆったりした幻想の世界は何故か少し安心感があり、不思議な読後感を楽しめる。著者のノディエはてんかんを患い、狂気の世界の隣人であると同時に本と蝶の収集家でもあったようだ。2020/03/22
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