岩波文庫<br> 小さき町にて - フィリップ短篇集

岩波文庫
小さき町にて - フィリップ短篇集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 301p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784003256213
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

フィリップの生まれた小さい田舎町では,木靴屋は木靴をつくり,桶屋はたがを打ち込み,牛乳売のブリキ壺は秤と打ち合って小鐘に似た響きを立てたりしながら,静かになりわいにいそしみ,あるいは恋をし,夫となり妻となる.時には小波をたてながらも優しく快く,これらの営みは,とある日墓場にたどりつくまで続けられる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

9
「地方生活とは謂はば教会の如く甚だ古きもの」(10頁)。田舎は古い。それではいつまで経っても、この国では東京一極集中の呪縛からは解き放たれないな。現代は、創造農村という試みもあるので。「正しいのは貧しい人たち」(145頁)。間違っているのは金持ち、とは書いてないが、逆はそうなる。2014/02/07

きりぱい

2
最初の「帰宅」は、家出した夫が帰ってきた後の淡々とした展開に、え?「アリス」は、嫉妬が引き起こす結末に、え~!などなど、ほのぼのなのか、ブラックなのか、変わった味わいの短編が28も。素朴な田舎の暮らしには違いないのに、人の生き死にや犯罪に関わる話も多く、結構すごいことをやってのける人々が滑稽でもあり悲しくもあり、あっさりさに覗く人間味のある感情が巧み。「自殺未遂」「隣りどうし」もよかった。2010/04/15

ksmsk

1
「帰宅」なんかはモーパッサンの「帰郷」を連想せざるを得ない。似たような短編を書いている他の大作家と比べると確実に見劣りするんだけど、素朴さや慈愛に傾いた作風で残酷すぎず風刺が効きすぎておらず、バランスがいいと思う。なんせ思い込みで死にがち。2011/12/07

takeakisky

0
手元の本は復刊されたものでなく、昭和十二年の第三刷菊半截判。序から小さな町の描写にうっとりする。住むとなったら御免だが、話を聞く分にはほんとにいいねえ。と、一つ目から家出亭主、四年ぶりの帰宅。新しい生活を送っている残された家族という物騒な幕開け。半分睡ったような筋書きを辿り、落ち着いた雰囲気。のなかでアリス。衝撃は甚大。老人の死には落涙。人間の、そうだよね、というところと、!そうなのか?、というところを巧みに織り交ぜる。ゆるいようで油断できない作家の目。ゆったりしたなか、次々描かれる些か厳しめの情景。2025/03/25

荏苒 byn

0
みすず書房版は「小さな町で」2020/02/25

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