出版社内容情報
信心ぶかくて清らかなクララ・デレブーズ。情熱的でまっすぐなアルマイード・デートルモン。愛らしくて傷つきやすいポム・ダニス。三者三様に純潔で可憐な乙女たち。「処女のゆらめく美しさをわたしほどに感じとった者が今までいたとは思えない」とジャムは言った。自然と愛の詩人が描く、散文詩のように美しい三つの物語。
内容説明
信心ぶかくて純潔なクララ・デレブーズ。情熱的でまっすぐなアルマイード・デートルモン。愛らしくて傷つきやすいポム・ダニス。三者三様に美しく清らかな乙女たち。「処女のゆらめく美しさをわたしほどに感じとった人が今までにいたとは思えない」とジャムは言った。自然と愛の詩人が描く、散文詩のように美しい3つの物語。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コジ
30
★★★★☆ フランスの詩人フランシス・ジャムが綴った散文詩的な短編小説集。タイトル通り三人の乙女たちについて美しい文章で語られている。クララ・デレブーズは清純で無垢な乙女。その無垢すぎるが故に起こる悲劇。ただ、彼女をあまりにも無垢に描きすぎて興ざめ気味。アルマイード・デートルモンは孤独な故に燃え上がる情熱の乙女。若干官能的。ポム・ダニスは愛情と友情に翻弄される。この作品が最も恋愛小説然としているかも。全体としては掲載順を追うごとに磨きがかかる印象。三人三様の乙女像、要するに女性は誰でも乙女ということか?2019/02/22
いりあ
22
フランスの詩人 Francis Jammesが1899年、1901年、1904年に発表した短編小説、いわゆる"少女もの"をまとめたものです。最初は詩集だと思っていたのですが、散文的な感じでした。どのエピソードも純真無垢、あるいは無知であるがゆえの悲劇、内容的には目新しい所は少ないですが、ジャム描くヨーロッパの田舎の自然と3人の脆くすぐに壊れてしまう可憐な乙女には、不純物がなく、キラキラと輝いています。2014/12/31
syaori
21
タイトルのとおり三人の乙女たちを描いた3つの短編が収められています。3作はそれぞれ独立しても読めますが、ゆるやかにつながっています。乙女たちはいずれも田舎の貴族の娘さんで、純粋で、可憐な野の花を思わせます。作者は、作中の老ダンスタン氏やポム・ダニスの伯父さんのように優しい視線で少女たちを見つめます。花をめでるように。時には手を差し伸べることもありますが、彼女たちが無垢ゆえの間違いを犯すようなときでも咎めることなく優しく見つめています。その視線が少し哀しいこの物語の優しいなぐさめになっていました。2016/03/10
ソングライン
16
純粋で、夢や理想を信じる3人の乙女たちの初めての恋を描く3篇の物語です。初めて知る恋の情熱、まだその先には倦怠、嫌悪、諦念、平穏が待っていることを知らない乙女たちに起こる悲劇。聡明で好奇心旺盛な少女クララが既に亡くなった大叔父とその婚約者の悲しい運命を知り、自分にもその運命が憑依してしまう「クララ・デレブーズ」は、幸福に満ちた少女の、誰も理解してやることの出来なかった彼女の純心な苦悩が切なく、心に辛く突き刺さります。2021/02/27
おMP夫人
13
草木や花、植物の名前がふんだんに登場する3篇の乙女たちの物語です。読み終えて思うのはやはり男性は女の人よりもうんと繊細でロマンチストなのだな。という事です。クララ・デレブーズ、アルマイード・デートルモン、ポム・ダニス、登場する3人の乙女が純潔すぎて、これはむしろ男性にしか描けないでしょう。無知であるがゆえの無垢さなどに、処女信仰というか汚れた欲望のない少女愛を感じます。女性が書くとどうしてもドロッとしたものがちらついてしまう世界ですが、そういうのがない綺麗なお話です。間に挟まれているイラストも素敵。2013/05/19