出版社内容情報
フランス革命は,産業と科学とを結びつけ,大工業の発達を促し,労働者を組織化せしめた.ここに労資の利害関係の対立が社会的舞台の前面に押し出されてきた.ゾラは,この問題を社会の重要な要素として題材にとり,労働者の生態を描いた.プロレタリア文学の先駆をなす小説.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
14
今度はガラリと雰囲気が変わって鄙びた炭鉱を舞台とするプロレタリア文学。今回の主人公エティエンヌも酒が入ると殺人衝動が現れるという血筋は受け継いでいるものの、兄弟に比べると控えめで、この家系には珍しくマトモな印象。上巻では炭鉱に生きる人々の搾取される苦しい生活が自然文学全開という感じで描かれ、ストライキに向けてマグマのようなエネルギーが蓄積されていくのがヒシヒシと伝わってくる。搾取する側のブルジョワ一家の描写もしっかりなされているところが作品の実を高めている。しかし、この岩波版は漢字も訳も古い……。2021/06/24
アドソ
9
岩波リクエスト復刊版。小さい字と旧字体で読みにくいことこの上ないが、ストーリーの面白さでぐいぐい読める。炭鉱の町で生きる人々の人間模様。がんばれエティエンヌ! でもエティエンヌって誰だっけ?もう一度「居酒屋」読み直さなくては。中巻へ。2016/04/28
umeko
4
すさまじい労働と生活環境。いよいよストライキに突入。2010/08/12
→0!P!
1
ランプの蓋のチェック、初めての炭車、陽の目をみない老白馬バタイユ、石炭奪い合う女たち、女房を寝取る間借り人ブートル、二人目の不義の子は話が違う2023/05/10
takeakisky
0
数多持っている読まず嫌い。ゾラもそのうち。なので初読。学校で文学史教えるのは止めたほうがいい。あれで読む気を起こす人は、いないよな。貧乏、不幸、やるせない、でも健気、さらには現実的という若者にはアピールしない要素を余すところなく備えているという理解。そのとおりだった。でも、それだけじゃないし、面白さはそこではない。後悔に身を震わせながら、中巻へ。2022/09/24