出版社内容情報
二百年の長い間,世界各国で圧倒的な人気をあつめてきた『巌窟王』の完訳.無実の罪によって投獄された若者ダンテスは,十四年間の忍耐と努力ののち脱出に成功,モンテ・クリスト島の宝を手に入れて報恩と復讐の計画を着々進めてゆく.この波瀾に富んだ物語は世界大衆文学史上に不朽の名をとどめている.一八四一―四五年.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
328
クリスト伯の復讐劇が紅蓮の焔を上げ本格化し、その正体を現わす。カドルッスは死して、ダングラールは破産寸前。フェルナンは過去の悪逆が暴露され、ヴィルフォール家に毒殺魔がいる。それぞれの子供達は親の過去の因縁によって被害を蒙っていくが、一人ひとりが自分なりに対処して、その束縛から逃れていく。第16代アメリカ合衆国大統領リンカーンが曰く”I am not concerned that you have fallen – I am concerned that you arise.”2016/10/21
遥かなる想い
219
ついに復讐の実行が始まる巻である。 モンテクリスト伯、エデなどの 復讐模様が 少し 大仰だが、面白い。 ヴィルフォール、フェルナン、ダングラール そして メルセデス…復讐の快感と虚しさを 満喫できる巻だった。2018/06/14
ykmmr (^_^)
151
『復讐』が本巻では『現実』となる。伯はフェルナンを『密告』にて追い込む。だが、そこで彼の息子が登場し、決闘寸前に。またまたしかし、ここで…伯は投獄前の『エドモン・ダンテス』に戻る。それは何故かというと…アルベールの母である、昔の最愛の女性メルセデスが、息子の助命の為に、伯を諭しに来た為である。伯は冷静さを取り戻し、アルベールと交渉し、アルベールは伯の思いを理解し、和解となる。そして…フェルナンは…。この回は、メルセデスだけではなく、他にも魅力ある女性たちに物語が運ばれていった。女性の使い方が上手い。2022/07/10
海猫
120
一気にクライマックス突入。ドラマが激しく動きモンテ・クリスト伯は苦悩する。積みに積み上げた布石が炸裂するエクスタシー。本筋以外でもユージェニーが女性キャラクターとして燦然とした魅力を放つ。続けて最終巻へ。2013/03/11
優希
105
復讐のために蒔かれた種がどんどん芽を出し、悪人たちに裁きが下されていきます。ドラマや映画だったら一番盛り上がるところでしょうね。散りばめられてきたものが集約されるので。自分の正体を明かしながら悪を片付けていくモンテ・クリスト伯。疑いを知らないエドモン・ダンテスがいつの間にか人を裁く立場にいるのがここにきて痛みとして感じます。それでも葛藤や恋心など、復讐の鬼になりきれない想いがあるのが救いに思えました。胸のすく復讐劇を望んでいたはずなのに。次は最終巻。どんな結末が待っているのでしょうか。2016/07/09