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岩波文庫
ツールの司祭/赤い宿屋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 302p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003253014
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

「ツールの司祭」はバルザック(1799‐1850)33歳の時の作で短篇集「私生活場景」第2版にはじめて発表されたものである.これはフランスにおいて写実小説としての条件を完全に具備した最初の作品であるといわれている.「赤い宿屋」は,実話であって,罪なくして処刑された男の友人なる軍医がこの小説の資料を提供したといわれる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まふ

6
「赤い宿屋」はバルザック芸術/狂気小説選集④の「絶対の探求」の中に入っている短編。金持ちの旅人を殺し、友人にその罪を着せて死刑とさせ、安穏に生きてきた殺人犯の医学研修生が罪の意識に苦しみ、それを暴こうとする語り手の男に呪い殺される、という話。結構建て込んだ構成の物語なので二回読んでようやく話の流れが分った。バルザックのいつもながらのストーリーテリングに感心させられる。人間の良心はどんな場合でも機能している、という教訓的な話である。面白かった。2019/05/13

きりぱい

5
あれほど望んだ部屋に住みながら、気付けば家主の老嬢に憎まれ、ひとり訳が分からないビロトー師。老嬢のいやらしさに、こんなことで出世できるのか?と思っていたら、まさかの見当違い。折り返しには、無名の一貧僧が権謀術数を駆使して司祭に成り上がる、なんてあったのだもの。変だとは思ったけど、地雷は別にあったのだ。粘っこい野心と徹底的なゆさぶり。リストメール夫人とトルーベールの独白付きの応戦が面白い。「赤い宿屋」は、無実の罪で処刑された青年と、のちにその話を聞く青年の、各々直面する葛藤がなかなか含みを持たせる。2012/06/14

壱萬弐仟縁

4
やはり旧字体。ここにも痛風が(7ページ)。60歳位のビロトー師はずんぐりした小男。評者は昔なら大男?(苦笑) 薬なかったのなら痛かったんだろうな。発症するとホント激痛ですので。「自己のまはりに善も悪も施さないやうな個人は、道徳も経済も等しくこれを追ひ斥ける」(73-74ページ)。道徳と経済を結んだのは渋沢栄一や二宮尊徳だったが、この作品でも大切なことが書いてあるのは洋の東西を問わないと思える。それにしても、なかなか旧字体は厳しいものがある。2013/02/01

ピリカ・ラザンギ

3
ツールの司祭/純朴だがそれ故に純粋な僧侶が、先輩の死後に一方的に地位を追われて廃人になってしまう話。少しカフカ的理不尽さがあるが、小市民のババアの表現や表向き善良な野心家のライバル等、人間喜劇のバルザックらしい、本当に嫌な印象を与える。 赤い宿屋/『ゴリオ爺さん』のタイユフェールがまた不幸な美人の役で出てくる。罪を犯さなかったが自分も邪な考えを抱いたと言って死んでしまう青年の描写が上手いし、タイユフェール嬢の呪われた財産の不幸故に愛するが同時に父親への賛辞が辛いという構造が抜群にうまい。2020/05/25

しげっちやま

1
赤い宿屋は好き。ラスコーリニコフを思い出した。半世紀前の漢字体に難儀した。2013/03/07

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