出版社内容情報
ヴォルテールは十八世紀文学と思想を開化させた作家であり,政治史,英雄史にとどまっていたこれまでの歴史を社会史,文化史の地盤に移した歴史家でもあって,その名声は生存中すでに全ヨーロッパに及んでいた.フランス史上豪之絢爛を誇った太陽王ルイ十四世の時代を人物,社会などあらゆる側面から分析した不朽の名著である.
内容説明
讒謗を受けたヴォルテールが、歴史編纂にのぞむ者のとるべき態度を論じた反駁文「補遺」と、フランスの王族、各国君主、フランスの軍人と政治家、この世紀に優れた才能を発揮した著作家・芸術家たちを解説する人名録を収録する。人名索引を付す。
目次
「ルイ十四世の世紀」補遺(ロック氏に寄せる書簡)
「公民誌」の執筆者に対しルイ十四世を弁護する
人名録(ルイ十四世の子供たち、当時の王族;同時代の各国元首、フランスの軍人と政治家;フランスの著作家;著名な芸術家)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bashlier
18
5/5 四巻はAppendixのようなもので、登場人物等、著作内の資料が整理されています。これまた相当便利で、様々な貴族がどのような立場だったのかを一覧でき、本当によくできた著作だと感心します。ヴォルテールは本著が後世まで伝わり読み継がれることが分かっていたのでしょう。何百年後を生きる人にとって時代を理解するのが難しいと考え、その助けをしようとこの補論を作った姿勢に本当に頭が下がります。本物の優れた頭脳には自身の時代だけでなく、後世までがはっきりと見えているのですね。2023/03/26
Tomozuki Kibe
4
本編は3巻で終了。刊行に及んでのいろいろな補足。さらに7割はカーテンコールというべきか、登場人物・政治家・将軍元帥・文化人の列挙紹介。列伝というほどではない人名録。一言で切ってあるので客観的にどうよ、というか同時代人でいいのか、というところもある。ともかくルイ14世の時代である。2025/01/05
Fumoh
2
四巻は補遺で、まずはこの書を刊行したときいろいろな批判が来たのでそれに答えたりしている。それから長大な人名簿が載せられている。これほどたくさんの人物について整理したのは、多大な努力のたまものであると感じる。ただしかし、各所から「描写が雑」だとか「細かいところが違う」「上から目線。偉そう」のような批判が来るのはやむを得ないというか、そもそもこれを歴史書とするのは無理があるという前提があると思っている。というのは、やはりヴォルテールは学者ではなく、本質は詩人であり思想家である。なので歴史描写も、客観的な情報2024/06/16