内容説明
1960~70年代のフェミニズム批評により、ヴィクトリア朝の女性作家の評価は激変した。多くの女性作家が「発掘」され、「再評価」されるなかで、家父長制社会が求める「理想の女性像」と「作家であること」との対立から生じる葛藤や苦悩を女性作家たちが共有していたことが明らかになった。ヴィクトリア朝で最も成功した女性作家エリオット。エリオットを評価しつつも、その道徳的逸脱を厳しく非難するマーティノー。理解あるパートナーに恵まれたエリオットに嫉妬と羨望の念を抱くオリファント。これら3人の女性作家の作品を論じることにより、男性中心主義社会への抵抗と従属の経緯、そして彼女たちの闘いの成果を明らかにする。
目次
1 ジョージ・エリオット(『フロス河の水車場』におけるマギー、語り手、ジョージ・エリオット;ポリフォニーとしての『ミドルマーチ』―諷刺家メアリ・ガースの役割と意味;『ダニエル・デロンダ』の矛盾―ユダヤ人の紳士デロンダの限界)
2 ハリエット・マーティノー(『経済学例解』における経済学と文学の融合―『ガーヴェロッホのエラ』と『ガーヴェロッホの喜びと悲しみ』;フェミニストの社会学者が書いた小説『ディアブルック』;『時の人』におけるハイチの黒人指導者の栄枯盛衰)
3 マーガレット・オリファント(モック・ヒロイックで女を語る小説『マージョリバンクス嬢』;センセーショナル・プロットを支配する母親の物語『セイレム・チャペル』;『フィービー嬢』における当世風娘と女性の神秘的な力)
著者等紹介
松本三枝子[マツモトミエコ]
現在、愛知県立大学外国語学部英米学科教授、同大学院国際文化研究科教授。最終学歴、名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程(英文学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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