出版社内容情報
亡命先のイギリスから故国の友人にあてた書簡形式のこの作品は,イギリスにおける信教の自由・民主的な議会政治への讃美に始まり,哲学,科学,文芸等の考察を通してフランス旧体制の愚昧と迷妄を痛烈に批判.啓蒙運動の引き金となった思想文学的記念碑で,生涯反教会・反封建主義の立場を貫いたヴォルテール(1694‐1778)の後の思想の全萌芽を含む初期の代表作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
56
ヴォルテール著の『哲学書簡』を27日、読了した。クエーカー教(徒)の話、ニュートンの万有引力理論の齎した衝撃の大きさ、痘瘡(種痘)の話など、興味深い話題が満載。 今日は、書評や感想ということではなく、彼による、パスカルの「パンセ」評を少々、メモっておく。……山本 義隆著の「重力と力学的世界 上 ――古典としての古典力学」 (ちくま学芸文庫)を読んでたら引用されていた。2018/03/27
DonaldTrump
6
哲学というタイトルはついているが、哲学未入門者でも楽しく読める、知的読み物(^。^)2012/02/27
Fumoh
4
ヴォルテールは当時先進的だったイギリスの政治・科学・思想・文芸などに触れて、後進的な自国フランスへ「自由な物の考え方を学ぶよう」メッセージを送りました。それが啓蒙主義=反封建主義となり、世の知識人たちを動かしていくことになった。その代表的な書です。ヴォルテールの書き方はフランス流の優雅かつ機知たっぷりな、高慢なものではありますが、内容は真摯に自国の未来を憂えたものです。これを読む限り、我々からすれば似たような両国であっても、物の考え方には大きな違いがあったことがわかります。イギリスは堂々と議論ができる風土2025/09/14
stray sheep
2
こういうのは読み始めた時の勢いのままに最後まで読み切らないと結局読みさしのまま忘れ去られるだろうという的確な予測のもと、一気読みに成功。2024/10/14
uburoi
1
ヴォルテールによるイギリスレポート。宗教についてにはじまり、歴史について、文芸について等々と続く。フランス人から見た驚きを率直に相当に皮肉交じりに語られる。同じく文筆家で作家でもあるだけに文芸についてはさらに力が入っている。最後の書簡25となるとガラリと様相が変わり、パスカル批判となる。天才と崇めながらも重箱の隅つつくように鋭く「パンセ」の文章に切り込んでいる。だが、これはパスカルをダシにして自分の考えを書いているだけなんだろう。2019/03/31