出版社内容情報
興の赴くまま人間について語り続けるモンテーニュ(一五三三‐九二)の筆致には,一種いい難いあじわいがあって,われわれの心を引きつける.プルタークに傾倒し『倫理論集』を愛読した彼.自領の館に引退し,古人のひそみに倣って悠々自適の生活を送った彼.読み進むにつれて,そういう彼の人柄が読者の眼前に彷彿するにちがいない.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
19
人はなかなか死期達したとは思わない ものだ。 これが自分の最後だと覚悟して死ぬ人は ほとんどない(7頁)。 自惚れの二側面。 自分をあまりに高く見すぎることと、 他人を十分に評価しないこと(64頁)。 後者は自分をよく見せる為のものであるが、 ありがちな自惚れの実態。 節制の徳は忍耐の徳よりもまれ(80頁)。 真実に不忠な人は嘘にも不忠である(89頁)。 わが国の教育は物知りにすることを目指し、 徳と知恵を追いかけることを教えず、 語の派生と語源をたたき込んだ(108頁)。 2014/06/18
風に吹かれて
13
みすず書房のホームページを見ていたら、『モンテーニュとメランコリー(MONTAIGNE AND MELANCHOLY THE WISDOM OF THE ESSAYS)(著者マイケル・A・スクリーチ)という本が刊行されていることを知った(<ただいま品切れです>だって。)「もともと彼の気質は当時で言うところの多血質で憂うつ質だった。ということは、『エセー』の成熟もまた、憂うつ気質の攻撃にたいする闘争の成果だったのだ。」と内容紹介ページに。世の中を受け入れ、その上で、➡2019/05/27
roughfractus02
12
Que sçay-je?(私は何を知っているのだろう?:後に叢書タイトルになった)という問いは、他者の目から自己を評価する著者の姿勢が読める。純粋なもの(プラトンのイデア)には感覚や感情が伴い、自らの死期も知らない(時期を得て自殺したセネカらは除く)。人はそんな不完全な知を信頼し、自分の記憶に固執し、他人からの自身の評価を低く見積もる(「自惚について」第2巻17章)。が、何事にも時期があり、記憶も永遠ではないのだから、自己に重きを置く根拠もないのだ。著者は記憶するためではなく、忘れるために読みそして書く。2022/05/07
bandil
8
これを読んでいる真っ最中に有名人の自殺があって、なんとまぁ、面白いことにこちらの本でも自殺の話題と出くわす。以下引用「妻や友人のために自分の生命を延ばそうとしない者、あくまでも我を張って死のうとする者は惰弱である。(中略)多くのすぐれた人々のように、他人のためを思って生に立ち戻るのは心の高邁な証拠である。(P.280)」これを知っていたら彼の自殺はなかったのかは分からないが、私は、モンテーニュの意見に賛同する。他にも現代に通ずる考えがいっぱい。今回も沢山吸収し血肉とさせていただいた。本巻も良かった!2020/07/26
ソングライン
7
カエサルの戦術、果敢さ、勇気そして敵に対する寛容さを称える章が印象に残ります。ガリア戦記を読んでみます。怒りについて章では、年齢がいっそう怒りっぽくさせるという言葉に頷いてしまいました。2018/01/25
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- 和書
- リンゴ半分