出版社内容情報
一九○二年リルケは,私淑する彫刻家ロダンに会うためにパリに赴く.ロダンのもとで彼の生活,作品の生成過程をつぶさに観察するという体験がこの稀有な評伝を生んだ.ロダンの作品が未来の芸術のあるべき姿を指向しているという芸術論は,詩人としてのリルケ自身の問題をも内包している.ロダン作品の写真八点を収録.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
11
詩人リルケのよるロダン論と講演をまとめた本。ロダンの彫刻写真が6枚収録されている。リルケがロダンに私淑して秘書をやっていたことがあったそうだ。自分はそういうことさえ知らなかった。とにかくロダンの素晴らしさを語っていくのだが、めくるめくイメージと妄想力に舌を巻く。言葉の表現力に圧倒された。さすが詩人だ。参りました。ロダンの毎日の仕事を見ていたリルケは、ジャンルは違うが精神を学び、後の傑作を生み出すヒントを得た。自分には彫刻は馴染みがないが一流の人の考えはどんなジャンルでもうならせるものがあるなと感心。2013/07/06
壱萬弐仟縁
9
節目に銅像写真が挿入されて緩急がある構成。パリのロダン美術館は何となく思い出としてある。ロダンは、目をどこへ向けても必ずそこに存在する生命を捉えた(18頁)。ロダンは孤独、引きこもりも経験しているので、鋭敏な洞察力を兼ね備えていたのであろう。彼はたえず休みなく働く。生涯はただ一日の仕事日のようにすぎて行く(72頁、以上1903年)。以下は1907年講演で、美を「作る」ことはできない、とされる(83頁)。意図がない。自然にできるのが美ではないかと思える。彼の挨拶では、「よく仕事ができましたか。」(101頁)2013/08/29
渡邊利道
4
吉岡実が従軍したときに持って行ったという本。金井のエッセイを読んでいてふと心に浮かんだので読んだ。リルケの文章は詩と同様難解で、詩と同様美しい。さしあたって「孤独」と「手仕事」と「物」、そして「表面」というのがキーワードか。そこからたとえばハイデガーの「仕事(=労働)」とか、フーコー(言葉と物)とか、ドゥルーズ(表層)とか、さまざまに読み取っていくことが出来る。第二部の講演でロダンの名を挙げないままに語り出すところなどは、表面云々もあって、ちょっと蓮實重彦を思い出す。2017/06/14
あ
2
絵を描いたり文章書いたりする時に役立つことがたくさん書いてあった。2014/09/25