岩波文庫
村のロメオとユリア

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  • サイズ 文庫判/ページ数 126p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003242551
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

スイスのゲーテと称せられるケラー(一八一九‐九〇)の代表作.架空の近代国家セルトヴィラを舞台に,村の少年少女たちの清らかな恋愛と,世俗の慾にかられて我執と淪落のぬかるみにあがく親達の姿とを対立させて描いた悲劇的物語.作者の詩魂によってロマン的精神と自然派的写実が見事に調和統一され,芸術味ゆたかな一篇となっている.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

18
1856年初出。「彼らは金を失えば失うほど、ますます貪吝(たんりん)にそれをもうけたいと願い、もうからねばもうからぬほど、ますます、しかも相手に先んじて、裕福になろうと考えた」(28頁)。こういう人って他にもいる気がする。それが人間ってものだろうけど。『極楽園』というのは、寂しい山腹の勝景の地を占めた料理屋で、そこから遠く田野を見晴らすこともできたが、しかしこんなにぎわいごとの日などにただ、貧しい人々、小作人や日傭人の子供たち、さては種々さまざまな浮浪泯などが集まって来るに過ぎなかった(106-7頁)。 2014/07/18

tieckP(ティークP)

2
スイスの文豪ケラーは長編『緑のハインリヒ』と共にこの短編が有名。家同士のいさかいに引き裂かれる若い男女の悲恋ということは題名から分かるとおり。物語的なアレンジは陳腐なもので、代わりに自然主義を先取りしたような村人や下層の人々への眼差しが当時としては非常に巧み。(やや上から目線で)それをテーマにするゴンクール兄弟らのフランス自然主義とは違い、自らの若いときの苦労をリアリティの材料としたようである。訳文はベースが大正時代のものなのでかなり独特。笑えるとも、味があるとも言える。後者で読んだ方が読者も幸せだろう。2016/02/24

刳森伸一

1
『ロミオとジュリエット』をモチーフにした作品。物語自体はさほど目新しくはないが、個々の場面にはいいところが多い。2014/08/27

Hepatica nobilis

1
とても良い作品だと思う。しかしこの訳文の古めかしさはちょっとすごい。逆に味があると言うべきか。

ももまん

1
高校で「ロミオとジュリエットのパロのようなもの」と習って以来気になっていたので読んでみた。文も綺麗だったし、面白くてどんどん読みたくなる感じ。現代的でない口語(?)にわくわくした。最後の新聞記事が、どこか恐ろしかった。2011/06/29

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