岩波文庫<br> 緑のハインリヒ 〈2〉

岩波文庫
緑のハインリヒ 〈2〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 229p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003242520
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

死んだ父の緑色の服を仕立直して着ている少年「緑のハインリヒ」は,自分の画才を堅く信じ故郷と母を捨てて修業に出る.見知らぬ都会での数々の経験を通じ,人間の完成へ一歩一歩近づいてゆくハインリヒの姿は,そのまま若き日の作者自身の姿でもあった.スイスのゲーテといわれたケラーの自伝的長編小説.一八七九―八○年.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あっきー

14
⭐3 スイスの田舎の情景やウイリアムテルの祭りの様子が目の前に浮かぶようで楽しい気分になれた、二人とも両想いだと互いに知っているのに素直になれないのは読んでいる側としてはじれったいような羨ましいような気持ちになる2024/02/25

4
少年期を描いた一巻から一転、春を思う十代半ばに充てられた本巻は、秘めた想いに胸こがす恋愛小説へと変貌をとげる。とおい記憶を刺激されるだけなら、「若きハインリヒの悩み」とあだ名して通りすぎることもできたけど、だれかの亜流どころの騒ぎではなかった。厳粛な堅信礼の息苦しさと、華やかな謝肉祭の解放感のコントラストも見事だが、街全体が舞台と化す野外劇から始まる怒涛の長回しが本書の白眉。非日常のただなかであらわになる人びとの姿態をフレームにおさめながら、思いもよらない場所へと連れ出すカメラワークは、もはや巨匠の域だ。2017/03/22

Nemorální lid

0
青年期である主人公ハインリヒを取り巻く人々の関係がより浮き彫りになり、異性との関わりが様々な事象を通じて緻密な技巧を以て重厚な味わいとなっていくのが素晴らしい。 キリスト教倫理を基底とする神との在り方も徐々に醸し出され、また学に通暁暢達するにつれて零焦点からの推察が濃密且つ理屈的になるのが教養小説の規範たる所以なのか、と考える。 「有為転変に対抗する最善の方法は、有為転変を旗じるしにして、軽快に敏捷に、時の波を巧みに乗り越えてゆくことである。」(p.180) 残りの2巻にも是非期待したい。2018/02/11

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