感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nemorální lid
5
当著は『超人間的な神格と、純人間的な女性との恋愛およびそれからくる破綻』(解 p.266)を描いた"ローエングリン"、『ワアグナアの心血が体験としてもっともなまなましく息づいている』(解 p.289)"トリスタンとイゾルデ"を収めたものである。ゲルマン的精神の持主であるワーグナーがショーペンハウアー哲学や隣人マティルデとの親交などを経て己の芸術的観点に立つ処に「ローエングリン」や「トリスタン」の偉大さを見ることが出来る。『天才ないし神格と、民衆ないし人間とは、宿命的に融和しえない』(解 p.268)のだ。2019/04/15
またの名
5
媚薬でくっついてしまったカップルが昂揚と興奮と陶酔の中で狂ったように溶け合う互いの愛を叫び続ける『トリスタンとイゾルデ』と、結婚行進曲でも有名な『ローエングリン』を収録。かぐや姫が月の文明へ還るみたいに素性を訊かれると聖杯騎士団に戻らなければならないローエングリンの物語は、古き神々を未だに奉ずるゲルマン人たちの目線から見た「異教」のキリスト教が真の唯一神の教えを広める文明侵略の過程と、突如白馬ならぬ白鳥の騎士に救われるという女性の願望の融合。古いのにテンポが良くて作品世界にのめり込める高木訳が素晴らしい。2014/12/11
check mate
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「晝」と「死」の強烈な対比。2014/12/09