岩波文庫
牡猫ムルの人生観 〈上〉 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003241431
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

人間の言葉はしゃべれないが,読み書きは自由な牡猫ムルが,自伝を書いた.ところが,執筆中に,ムルが遠慮なく破っては吸取り紙にして原稿の間にはさんでいった楽長クライスラーの伝記までいっしょに印刷されてしまったから大変,猫の自伝と人間の伝記とが交互に入り交じるという何とも珍妙な書物がここにできあがったのだ.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

28
独の後期ロマン派を代表する幻想文学の奇才、自らも愛猫家だったというホフマンの最期の長編傑作(上・下)。本書は上巻。(河合隼雄著書繋がり)。物語は、(人の言葉が解る)牡猫ムルの回想録[文中(ムルは続ける)で始まる]と楽長ヨハネス・クライスラーの伝記[文中(反故<ほご>)で始まる]が交互に綯交ぜに進行してゆく。猫ながら教養があり、韻文詩・論文を書き、シェイクスピア作品に造詣がある牡猫ムル。宮廷を舞台にした陰謀と複雑な人間関係の中の楽長クライスラー。詳細は、下巻を読んでから。2014/01/19

壱萬参仟縁

22
教養がすすめばすすむほど、自由が減少する(45頁)。書物の中へ坐りこむと、いい気持がした。部厚な書物を開いて、じっとのぞきこんでいた(47頁)。学問というものは、何と素晴らしい代物だろうか! (83頁) 有望な猫青年を啓発するために、勉強したいときには、先生の書斎へ跳びこんで、爪で引っつかんだ書物を通読した(83頁)。すごい向学心だなぁ。 読書が禁じられたにしても、俺の独特な天才はいよいよ自由に活動して、自分自身の中から創造した(118頁)。読書の意味を考えさせられる。 2014/08/05

Fumoh

6
偉大な牡猫ムルが自伝を執筆しようとするが、下敷きとして使った紙に、楽長クライスラーの伝記が印刷されていて、両方の物語がごちゃ混ぜになってしまった、という面白い設定の物語。二つの物語が平行して進んでいくことになるが、実は関連がある。ロマン派流の煌びやかな文体に、どこか現実とは思えない不思議な幻想世界が繰り広げられ、ホフマンだけが駆使できる奇妙なバランスで成り立った珍味を味わえる。かなり長いお話なので、読み解くには根気がいるだろう。2024/01/13

しんすけ

6
こんなに面白い本が古書店でしか手に入らないのが不思議だ。漱石が、この本をパクって、かの『猫..』を書いたという噂を打ち消すために、新刊発行が差し止められているのでないかと思うこともある。漱石の猫君はどう云う具合にあの本を書いたか明らかにされていない。が、ホフマンの猫君は自己訓練でペンを持つことを覚えた結果、自伝を書いたようである。ただ、半分以上が紛れ込んだクライスラー楽長の伝記で占められている。猫自伝と楽長伝記がどのような関連があるかと戸惑うが、序文にあるよう紛れ込んだと考えていたほうが無難だろう。2016/01/13

シャルたん

5
シャルたん@読書さんの感想・レビュー『牡猫ムルの人生観 (上) (岩波文庫 赤 414-3)』 #ブクログ https://booklog.jp/users/zomurai/archives/1/4003241436 教養深く難解ながらユーモラスな作品。 他の作品と全然違う 後期は、結構違う作風?2024/03/24

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