出版社内容情報
ゲーテを崇拝してやまなかった著者は,晩年のゲーテに深く愛されてその側近くに身を置いた.ほぼ十年に及ぶ両人の親しい語らいは,文学,芸術はもとより個人生活,諸外国の文化など多岐にわたり,それをまとめた本書は読者もまたゲーテと共に語っているかのような愉しさにあふれている.ゲーテを知るための必読書.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
92
この偉大な文人の優美で官能的で機智に富んだ対話と筆致なら飽くことないよ、終わりたくないよ。雲の上の人格者でも色彩論のことになると、自制心が効かなくなるのね。少しの弱みが寧ろ嬉しくなる。2021/04/27
Gotoran
47
ゲーテの晩年に身近で過ごした若き詩人エッカーマンがゲーテとの対話を書き綴った手記。本書、中巻は、1828年6月から1832年3月を収録。『ファウスト 第2部』出版時期と重なると云う。エッカーマンのゲーテに対しての思いが浮かび上がらせる一冊。モーツアルト、バイロン、ナポレオン、ターナーに対するゲーテの評価が興味深い。基にいた名言を以下に。“概して人間というものは、自分の情熱や運命のおかげでもう十分に陰うつになっている。”“人間には、明るさと晴朗さひつようなのだ”2019/11/30
ビイーン
33
詩や文学、芸術、人生の過ごし方にまで及び多くの示唆を与えてくれる。何回読み返したら書かれていることが咀嚼できて理解できるようになるのだろう。2018/11/25
tapioka
31
ゲーテとの対話を著者のエッカーマンが記録した作品。本巻ではエッカーマンがゲーテと離れてイタリアに滞在し、再びゲーテの元に戻ってきます。そのゲーテが出てこない期間の記述がなんとも物足りなく、エッカーマンも高い教養の持ち主だと思いますが、ゲーテが放つ深い言葉達には到底及ばない印象でした。また、ゲーテが自分の色彩論を否定や反論されることに不快感を示し、少し意固地になっていたのは意外で人間味を感じました。本書の最後でゲーテが死んでしまい、果たして下巻では何を描くのか少し不安ですが、最後まで読み切りたいと思います。2016/10/17
壱萬弐仟縁
30
1836年初出。「自然は、つねに真実であり、つねにまじめであり、つねに厳しいものだ。自然はつねに正しく、もし過失や誤謬がありとすれば、犯人は人間だ」(1829年のこと、77頁)。「世の中には、当然立つべき立場に立っていることのできる人間というものは、ほんの僅かしかいないもので、どちらかというと、むしろ猫も杓子も自分にぴったりしたものだけを讚めるし、そういうものだけを作ってもらいたいと思っているものだ」(同年100頁)。社会的責任とエゴ。「人間というものは、若いころの印象をぬぐいさることができないものだ。 2014/07/25