出版社内容情報
上巻には20世紀前半の作品を収録．突然失踪して修道僧となった社交界のヒーロー，ニューヨーク下町の人間群像，飢餓に苦しむ先住民族の長老を待つ掟とは…鮮かな人間描写で時代のアメリカ社会を写す．（全2冊）
内容説明
上巻には主として２０世紀前半に活躍した作家１３人の作品を収録。突然失踪して修道僧となった社交界のヒーロー、ニューヨーク下町の人間群像、飢餓に苦しむ先住民族の長老を待つ掟―見事な人物描写を通して、２０世紀前半のアメリカ社会を写しとる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな（灯れ松明の火）
77
上巻はアメリカの有名作家が多く、収録。開幕のO・ヘンリーの「平安の衣」はたった8頁で人生の複雑な旨味が伝わる魅力的な作品だ。隠遁した人には勿体ない選択だとしても本人にとっては満たされている選択なのが晴れやかにさせてくれる。「ローマ熱」は相変わらず、一見、仲の良さげな女性同士の密やかな侮蔑と優越感、それが引っ繰り返された時の虚脱の描写が具に描かれる。それは身近だからこそ、どんなホラーよりも恐ろしいのだ。映画『陽の当たる場所』の原作者、ドライサーの「ローゴームと娘のテレサ」は高慢な父とそれを耐え忍ぶ娘の反転。2021/08/07
やいっち
75
古書店で発掘した本。20世紀の前半、戦争前の作家の作品が載っている。「20世紀前半のアメリカ社会をも浮彫りにする短篇集」とのことで、作品を一つ読むたびにメモって来た。オー・ヘンリー、ドライサー、ロンドン、フォークナー，スタインベック、フィツジェラルド、ヘミングウェイ、コールドウェル、オルグレンらの作品を楽しめる。2021/07/10
こばまり
56
【再読】いずれ綺羅星の如く。一編一編の存在感が半端ない。作家の生年順に収められているので、そうかフィツジェラルドとフォークナーとヘミングウェイは一年違いで生まれているのか等としみじみするのも楽しい。2017/07/12
こばまり
49
古いものは発表から100年が経とうというのに、このシズル感はなんだ。文豪の文豪たる所以をまざまざと感じました。表紙の写真がなんとも素敵と思いましたら、これまた20世紀を代表するアンリ・カルティエ＝ブレッソンの作品なのでした。2015/11/24
くさてる
24
既読のものも初読のものもありましたが、好みのものはもちろん、そうでないものも傑作と認めざるを無い、粒ぞろいのアンソロジーで堪能しました。そして、それらの作品がまさに20世紀アメリカの様々な面を切り取っているのがよくわかる解説が作品の理解に役立ちました。面白かったです。ウォートン「ローマ熱」は何度読んでも最後でぞっとするなあ。2018/07/01
