出版社内容情報
伯母の勧めで,ロンドン郊外の由緒ある豪邸を訪れたアメリカ娘イザベルは,そこにヨーロッパの円熟した文化を見出し,広大な世界が開けてゆくような陶酔感を味わった.やがてフィレンツェに在住のアメリカ人オズモンドと結婚,次々におそう試練に耐えて成長してゆくイザベルを見事な語り口で描くジェイムズ(1843-1916)の代表作(1881).
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
169
中巻はフィレンツェを舞台に移す。 マダム・マール夫人の画策通り、 オズモンドと結婚をしたイザベル… 結婚の理想と現実… 自由で高邁なイザベルがどうなっていくのか? 次巻の楽しみ。2018/06/02
NAO
61
他人の意見にほとんど耳を貸さず、自分の判断だけを信じて行動する現代的なアメリカ人女性イザベル。今までにない自由を得たことで彼女にとってはそれが小気味いいのかもしれないが、実はそういった自分がかなり危うい状態にいることには全く気づいていない。舞台がフィレンツェに移ると、そこで出会ったマール夫人やオズモンドは、あまりにも魅力的に書かれ過ぎていていかにも胡散臭い。しかも、どんどん話の雲行きが怪しくなっていく。すべてが大仰な昼ドラのようで読むのがしんどくなってきた。2016/11/22
Gotoran
45
才気に溢れ魅力的で自由闊達、人生を自己の判断のみで決めるアメリカ女性のイザベル。本書(中巻)では、イタリアが主な舞台。イザベルはフィレンツェに住む駐在員のアメリカ青年ギルバート・オズモンドと結婚するが、彼の圧倒的な自己中心的な自我と妻・イザベルへの真の愛情が欠けていることから、二人の結婚生活は急速に悪化していく。こういう事からイザベルは結婚の理想と現実を目の当たりにする。人物描写と人物分析が微に入り細に入っている、素晴らしい。下巻でのイザベルの運命が気になるところ。2023/01/10
りつこ
34
俄然面白くなってきた!いやしかしこの本、中表紙で思いきりネタバレしてくるから下巻は注意しよう。2017/05/23
ケイトKATE
29
亡くなった伯父の遺産を受け取ったイザベルは、伯母と一緒にイタリアを訪れ、フィレンツェで美術コレクターのギルバート・オズモンドと出会う。寡夫でひとり娘のパンジーの父親であるオズモンドは芸術に精通して、イザベルはこれまで出会った男性とは違う魅力を抱き結婚を決断する。上巻で登場しなかったオズモンドがイザベルの恋愛相手に急浮上して驚かされるし謎も多い。また、イザベルにオズモンドを紹介したマダム・マールも魂胆がありそうで怪しいものを感じる。下巻でイザベルはどうなるのか心配になる。2024/12/24