出版社内容情報
洋々たるミシシッピーの流れに乗って筏の旅を続ける浮浪児ハックと逃亡奴隷ジム.流域の町や村で二人が出会う冒険の数々.辺境時代のアメリカで,何ものにも捉われずに生きようとする少年と,必死に自由の境涯を求める黒人の姿に作者のヒューマニズムが脈打つ.「現代アメリカ文学の源泉」と言われた傑作.初版挿絵を収録.
内容説明
洋々たるミシシッピーの流れに乗って筏の旅を続ける陽気な浮浪児ハックと逃亡奴隷ジム。辺境時代のアメリカの雄大な自然と活力溢れる社会をバックに、何ものにもとらわれずに生きようとする少年と、必死に自由の境涯を求める黒人の姿をユーモラスに描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
89
初読。2015年1159冊め。【82-1/G1000】『トム・ソーヤーの冒険』でお金持ちになったハックが、お金目当てで戻ってきたアルコール中毒の父親から逃げ出して冒険の旅へ…というお話。父親から逃げるハックと逃げ出した黒人奴隷ジムの対比により、作中時代の1830~40年代の人種問題が浮かび上がってくる。少年の目を通して語られる家族問題、人種、宗教のことは、発表当時(1885年)は今よりももっと衝撃的だっただろう。2015/11/26
ケイ
74
出だしのハックの語りからすでにグッとくる。トム・ソーヤよりハックの物語の方がワクワクすると言う男子が多いのもうなずける。トムの方が確かに頭が回るし、想像力もあるが、トムの冒険は、身の回りの冒険だからだ。ハックは深く考えないし、危なっかしいから、どんどんと奥へと行ってしまう。そして、身構えすることを知らないので、誰の所にでも飛び込んでしまい、子供の冒険が本物の冒険となるのだ。宿根とは本当に恐いなあ。当時は本当にあったんだろうか。2013/11/08
ちゅんさん
49
ハックとジムのやり取りが面白い。ハックはなんて賢い子なんだろう。真の自由人って感じですね。偽の王様や公爵を受け入れる器の大きさもあるし。でもバイオレンスな父親からは逃げて正解!どこまでも逃げて自由に生きてほしいが、果たして。2023/11/02
33 kouch
45
筏で黒人ジムと逃亡劇を繰り広げるだけの話だが、そこに差別問題や貧困など当時のアメリカの時代背景が反映している。トム・ソーヤのような無邪気なワクワク感とはかけ離れ、現実をなぞっていくような冒険で少しシリアス。それでも読み進めるうちにミシシッピーの自然あふれる風景、湿原に住み着く動物などが脳内にリアルに再現され、一緒に冒険しているような感覚になる。霧のなか筏を見失うなかハック筏を見つけ安心するジム。からかうハックに失望する件がとても印象的。ここで黒人、白人といった意識も消え人間同士の触れ合いが始まる2024/10/08
ビイーン
36
個人的にはトムソーヤの冒険よりこちらの方が面白いと思えた。陸は危険に満ちたところで、筏の上は自由で安心できるところって発想が思いつかないし。人種差別、銃社会、詐欺ペテン、自由、孤独など、善し悪し関係なく、アメリカを丸ごと表現しているようだ。2018/07/04
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