岩波文庫
透明人間

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  • サイズ 文庫判/ページ数 233p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003227626
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

ロンドン郊外のある村に頭に包帯を巻いた奇怪な男が現れた.この男が,包帯をとり服を脱ぐと姿が消えてしまった.一体この男の正体は? 誰もが一度は夢みたであろう「透明人間」願望を科学の力で実現した人間を描いたSFの古典(一八九七).二重人格の問題を扱いSF大衆化への道をひらいたH.G.ウエルズ(一八六六―一九四六)の代表作.

内容説明

ロンドン郊外のある村に頭に包帯を巻いた奇怪な男が現れた。この男が頭に巻いた包帯をとり服を脱ぐと、その姿は消えてしまった。一体この男の正体は?誰もが一度は夢みたであろう「透明人間」願望を科学の力で実現した人間をえがいたSFの古典。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

133
透明人間。今なおマンガや映画、小説に登場し、昔では歌にも使われていた題材だ。原典の透明人間は自分のために人を脅迫して利用し、罪を犯すことを全く厭わない真の悪人だ。実に独善的な人物で窃盗から始まり、放火、傷害、脅迫、器物損壊、更には殺人とまさに犯罪のオンパレードである。彼を取り巻く人間たちもまた透明人間と云う異質な物が自身の生活圏内に入り込むことで変化する。人間は目に見える物よりも見えない物を大いに恐れる。見えないが故に空想でその存在は肥大する。本書は透明人間を通じて見えないものへの恐怖を描いた作品だった。2021/10/31

51
想像していた透明人間とは違い、冷酷かつ、かわいそうな人物だった。そんなバトルしなくても!と思った。性格悪すぎ。そして、古典らしさを感じた。図書館の本なので、92年〜ある本らしく、ヤケもすごく、92年から借りているスタンプがあってなんか感慨深い。本泥棒という映画に出てきた本だったので、読んでみようと思ったのだが、あの山のような本の中から、焼け残ってたまたま拾ってきた本がこれで、その後も何回も読んだり、病人に読み聞かせしたりってなんだか…当時の時代の非情さを表しているような、その本かいな!って思うっていうか…2018/12/26

碧海

40
映画「インビジブル」から入りました。実際に起こった事件を淡々と書き連ねていくような文体で、透明人間が起こす壮大な混乱が書かれています。文学的な小説ではないのですが、だからこそ怪物と人間の狭間の主人公が現実的です。別のSF作家の「新しい技術が生まれると、天使が用途を考えている間に、悪魔が悪用してしまう」という台詞がありましたが、好奇心から後先考えずに発明し、生まれてしまった科学技術に翻弄される主人公は、自業自得とはいえ、少し悲しい。2014/07/18

絹恵

38
透明人間になれば法の外の住人になるというifを、突き詰めるとそこには結局、孤独しか残されていませんでした。透明人間は、人間以前でも人間以上でもなく、血肉を透明にしても、感情に伴う行為には色が付く人間です。だから法の中に入れてほしいと願い、孤独に耐えられずに善悪の彼岸を超えてしまいます。それでも彼は言う、"君なら分かると期待したのに。"独り善がりの理解力で。2017/10/17

康功

33
透明人間グリフィンが、味わった数々の試練は、実験の成功により得た特権をはるかに超えて、苦しい苦しいものであった。例えば、人間と人間の間にある差別や人種の壁、国籍、動物、学歴、生活水準など人間はその立場の違いから、相手を思いやることが出来なくなる。異質が差別を生むことの例えを、SFという型で表せば、このような世界は容易に想像される。作者が言いたかったことの一つにそんなことがあるのではないかと思い読了した。ちょっと悲しくなる最後は、何か救いが欲しかったが、あの結末で、より心に残りえるたのかもしれない。 2019/01/07

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