内容説明
“美しきものはとこしえに歓びである”という言葉で知られるイギリス・ロマン派の詩人キーツ(1795‐1821)。“美は実相、実相は美”とうたう「ギリシャの壷のオード」等の秀作オードや、大作『エンディミオン』『ハイピリオン』『ハイピリオンの没落』のエッセンスなど、夭逝した“美の詩人”の世界を、原詩とともに堪能する1冊。
目次
はじめてチャップマン訳のホーマーを披見して
きりぎりすとこおろぎ
「暗い雲霧が…」
海について
『エンディミオン』より
「宵々の侘しき十二月に」
『リア王』再読を期し席を正して
「わが命はや終りはせぬかと…」
「おお その顔に冬の風を感じとり」
「年の行を四季が満たし」〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
94
美は実相、実相は美。私が日々探求するもの。文学、哲学、韓国ドラマは自然とそこにあるもの。円軌道を描くような滑らかさ、柔らかさ、ゆったりとしたリズムと共に。それを今、人の中にもあらゆる円を描いてみようとしているところ。2020/11/19
こなな
56
19世紀英国を代表するロマン派の詩人ジョン・キーツ(John Keats 1795~1820年)。25歳という若さで死去して200年を迎える。繊細な美的感覚と豊かな言語構成能力に長けている。キーツが現代にも影響を与えているものの一つに「ネガティブ・ケイパビリティー」(Negative Capability)という言葉がある。これは、キーツが不確実なものや未解決のものを受容する能力を説明する際に編み出した考え方で答えの出ない事態に耐える力のこととある。寄り添い共感することにあたるのかなと。益々興味がわく。2021/09/23
アリス
15
美の詩人と呼ばれたキーツの詩集。彼の詩は当時のキーワードである感受性を重んじた詩となる。全体的に彼の詩の文体の美しさに引き込まれてしまう詩が多かった。2024/02/03
歩月るな
15
対訳のイギリス詩人選十冊目。どうも夜鶯(やおう)と読むのはこの作品だけなのでは、と思われる節があるので夜鶯(やおう)とくればキーツなのである。対訳なので、例えば「To let the warm Love in!」の訳が「燃ゆる情(こころ)の愛の神を出で迎うべく。」と言うのを見るとやはり普通に直訳でもいいから口語訳の方が良いのではないかと思わないまでも無きにしも非ずや?(委譲)『神曲』ほど難解でもないにせよ風雅な言葉選び、実は訳者最晩年の著作のようで本当に全身全霊籠っていると言ってよい。まさに堪能する一冊。2018/09/18
きくらげ
12
英詩は対訳の方が訳者の存在を気にせず読める部分があるだけ流石に良いか。行数の多いものは抄出になっている。ロマン派と聞いて激情的なものを思い浮かべたが、知性より感性という考えよりは、詩性を獲得するまでのダイナミズムの方が、彼岸への憧れに続く彼岸への回帰と諦念、それを経ての受容と熟成の方が面白く感じた。シェイクスピアへの敬慕が強く現れた作品もある。「夜鶯によせるオード」「ハイピリオンの没落」あたりがよかった。2024/11/06
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- 和書
- 鎌倉時代の権力と制度