出版社内容情報
シェイクスピア劇と人気を競う十八世紀の劇作家シェリダンの諷刺喜劇.ふた言目には道徳を説くが裏では社交界を操る偽善家の兄ジョーゼフ.財産を叩き売っては放蕩三昧の弟チャールズ.インド帰りの叔父オリヴァーは兄弟の本心をためそうと,兄には貧者,弟には金貸しを装って現われるが…….巧妙な筋立てと場面が展開される.
内容説明
ふたこと目には道徳を説くが裏では社交界を操る偽善家の兄ジョーゼフ。財産を叩き売っては放蕩三昧の弟チャールズ。インド帰りの叔父オリヴァーは兄弟の本心をためそうと、兄には貧者、弟には金貸しを装って現われるが…。巧妙な筋立てと場面が展開してゆく。シェイクスピア劇と人気を競う18世紀の劇作家シェリダンの風習喜劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
39
初読。英米ではロミオとジュリエットと並んで誰もが知る著名な作品だが、日本ではほぼ知られていないだろう。偽善家の兄、放蕩者の弟と、兄弟を見極めようとする叔父。2013/07/06
藤月はな(灯れ松明の火)
10
皆、腹の中に一物を抱えながらも表面はお世辞を言い、偽善で取り繕い、影では毒つくという人間の滑稽さを見事に表した戯曲。悪態の付き方が「嵐が丘」を読んで時と同様、「本当に紳士の国として知られている英国か?」と疑わずにはいられない位、ヴァリエーションに富んでいます(笑)階級社会においてはこのような悪態を表現できる清々しさがあったからこそ、ロンドンでの上演回数が一位となったのじゃないかな。オリバーおじさんと執事の企みが笑いを誘います。2011/12/19
きりぱい
7
悪口というより、たわいないデマに興じるという感じなのだけど、悪口の自覚なく悪口を言ってしまっている口軽さに苦笑。道徳家の兄と放蕩の弟という風評の真偽を確かめようとするインド帰りの叔父に、噂を鵜呑みにして困る人利用する人と、恋の目算まで絡む喜劇。ロンドンでの上演回数で一位、二位がロミオとジュリエット、お気に召すまま、三位がオセローと並んでこれという人気の高さらしく、特にロミオのバルコニーシーンと並んで英米では誰でも知っているらしい(全然知らなかったよー!)名場面の屏風シーンは最高に喜劇。2011/07/29
銀木犀
3
魅惑のタイトルに惹かれて読んでみた。イギリスでは3位の興行数を誇る古典劇だそうだ。知らなかった。兄ジョーゼフは悪い奴だが、借金のために先祖を売るw弟チャールズが特にいいひととは思えない。オリバーおじさんの活躍は面白い。登場人物の名前に英語でおばかな意味がこめられているので(簡単な英単語もあり)、そのへんがすらすらわかる人はさらに楽しめると思われる。私は注釈を見ないと一部しかわからなかった。2010/09/04
SK
2
126*大笑い。人名に、いちいち意味があるらしい(たいていは悪い意味)。屏風のシーンは、舞台上で見たら絶対におもしろい。1981年時点で、ロンドンでの上演回数が、『ロミオとジュリエット』『お気に召すまま』に続いて本作が3位とのこと。現在のデータは、どうなっているのかな。イギリスでは人気作のようだが、日本では全然知られていないのではないか。自分も知らなかった。立派に見える人物が、実は悪党だったり、イギリスらしい皮肉が利いていると思う。2018/07/03