出版社内容情報
非凡なストーリー・テラーとして広く愛読されているモーム(一八七四―一九六五)の数多い短篇の中から,モーム得意の南海もの三篇を選んだ.異常なまでに布教に熱心な宣教師が最後にみせる人間的破綻を描く『雨』,愛のはかなさを主題にした作者会心の作『赤毛』など,すべて短篇小説の醍醐味を十二分に味わせてくれる名篇である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅葉まんじゅう
5
「終日私は彼女とともに祈り、戻ってくるとまた祈る。全力をこめて祈る。それは、イエスが彼女にこの大恩寵をゆるしたもうことを願うからだ。」「雨」 どの口が言うか、だけど、まあ、人間なんてそんなもんか。2015/03/31
訃報
3
「他一篇」のマキントッシが一番おもしろかった件。ウォーカーとマキントッシ、正反対の二人の造形はすばらしい。俺はマキントッシ側の人間だなあ。ハラハラドキドキのサスペンスフルな展開から予想の斜め上を行く結末へ。「意外なオチ」が読者を驚かせるだけじゃなくちゃんと小説としての効果を持ってるのが良かった。2012/08/13
白檀薫る
2
再読。やはりいいですね。 「雨」の宣教師の狂信的な支配欲が醜さを醸している。 「赤毛」南海の島の美しい描写と、若くて美しい2人。年を経た老醜の姿の現実と対比して、思い出と南国の自然はそのままに美しい。2019/04/15
山一工房
2
どれも良かった。少し皮肉めいた後味が残る。特に「マキントッシ」の善悪が混沌とした感じが良かった。2014/11/11
905
1
初見のはずなのに、読みながら『雨』と『赤毛』は絶対読んだことがあると思った。オチまでありありと想像できたし、まさにその通りになったから。と思ったら、5年前に講談社英語文庫で読んでいたことが発覚(→https://bookmeter.com/books/1496900)。結局、個々の文言は忘れてしまい、印象だけが強く残るもんだから、英語で読んだのか日本語で読んだのかの区別もなくなるってこと。2022/07/27
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- 和書
- 魚 小学館の図鑑NEO