出版社内容情報
きな臭い世情なんてなんのその、単身赴任でやってきた勤番侍が幕末江戸の食と町を満喫! 残された日記から当時の江戸のグルメと観光を紙上再現。
青木 直己[アオキ ナオミ]
内容説明
時は万延元(1860)年、江戸藩邸勤務を命じられた紀州和歌山藩の勤番侍・酒井伴四郎は、江戸での単身赴任の日々をこと細かに日記に記した。蕎麦やすし、どじょうなどの定番江戸グルメから、質素倹約を主とした長屋の食生活まで、几帳面な伴四郎の日記から当時の江戸の「食」を紙上再現。文庫化にあたり、新たに発見された史料から二度目の江戸滞在や日光出張、長州戦争従軍の様子を増補。
目次
第1章 江戸への旅立ち
第2章 藩邸と江戸の日々
第3章 男子厨房に入る―江戸の食材と料理
第4章 叔父様と伴四郎
第5章 江戸の楽しみ
第6章 江戸の季節
第7章 江戸との別れ
終章 伴四郎のその後
著者等紹介
青木直己[アオキナオミ]
1954年、東京生まれ。立正大学大学院博士後期課程研究指導修了。立正大学文学部助手などを経て、1989年株式会社虎屋に入社、虎屋文庫研究主幹として和菓子に関する調査・研究に従事。2013年同社を退職、現在は東京学芸大学などで講師をするほか、時代劇ドラマなどの考証を行なう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小梅
139
紀州和歌山藩下級武士 酒井伴四郎の残した日記を元に江戸時代の様子がよくわかる書。以前にNHKのドラマ「ブシメシ」を思い出しながら読みました。有名な人の書簡などは大事に保管されている場合も多いでしょうが、下級武士の日記が世に出たのは奇跡じゃないかと思う。伴四郎はマメな性格で行った場所や食べた物など細かく日記に書いている。この時代の生活の匂いまで感じるようで楽しかったです。2018/05/07
yumiko
71
紀州和歌山藩の勤番侍・酒井伴四郎が江戸勤務時に記した日記から、食生活に関する部分をまとめた一冊。彼が江戸に来た万延元年は、春に桜田門外の変が起きた年、つまりは江戸の食文化集大成とも言える時期。蕎麦や寿司といった定番グルメは外食で、江戸前の魚や貝料理は単身赴任ならではの自炊でよく食べている。普段は倹約し、大事には惜しまないところがいい。なにかというと酒を呑み、甘いものにも目がないのはご愛嬌。季節の変化を楽しみ、年中行事の食事を大切にしていた当時の人々の姿が浮かび上がってきて、興味深く面白い読書になった。2016/11/05
きみたけ
67
紀州和歌山藩の下級武士が幕末に江戸へ単身赴任した際の日記から当時の食文化を紹介。幕末の江戸の人々がどのような料理を作り、またどのような外食を楽しんだのかが垣間見れます。また彼の小遣帳から当時の生活物資の値段も把握できるのが嬉しいです。赴任のため江戸へ向かう道中、枚方名物くらわんか餅の件が出てきます(ひらパーの近くにお店あり☺️)。また昔の飯炊きは一日一回の重労働で、改めて炊飯器のある生活のありがたさを痛感。毎晩酒を呑み江戸の名所を巡る辺り、東京での単身赴任中のサラリーマンの生き様を彷彿とさせます。2021/02/23
ホークス
60
幕末の江戸に単身赴任した紀州藩の酒井伴四郎。28歳の下級武士の日記から、当時の食生活が詳細に見聞できる。意外なのは色々な鳥、それに豚肉をよく食べている事。贅沢品とはいえ当たり前の存在だったらしい。「◯◯餅」「◯◯団子」など名物菓子がたくさんあり、汁粉も含めると毎日の様に食べている。蕎麦や寿司は単身者の強い味方。自炊も毎日しており、多種多様な魚貝類をとても上手に調理する。酒もよく呑む。食事以外の武士の生活もよく分かり、上役に気を遣い小まめに付け届けをしている。でも長州征伐への従軍はやっぱり過酷。2019/10/30
えみ
53
「江戸時代+武士+食」もう断トツに面白い!この組み合わせほど興味深い歴史的史料は他にないと思っている。食から見えてくる時代の流行、物価、人々の暮らし‥等。食事情が分かれば江戸時代知識を制することも不可能ではないのでは?と常々思っている。今回読んだ紀州和歌山藩の下級武士・酒井伴四郎の日記でその考え、強ち的外れじゃないと確信。倹約家の伴四郎が楽しんだ「幕末の食」そして「江戸生活」。他人の生活を覗き見たい人や江戸時代が好きな人に是非お薦めしたい一冊!それにしても酒と甘いもの好きの武士って多い…糖尿病が心配だわ。2020/11/07