出版社内容情報
日清戦争前夜、古代伝説の地出雲から、軍都の色彩を強めていた熊本に移住したハーン。旅の宿屋で夢のあわいに浦島伝説へと入りこんだような「夏の日の夢」、一つの心中事件を描いて日本人の〈信仰〉に迫る「赤い婚礼」他、〈詩人の直観と哲人の思索〉に基づく繊細な筆をもって書き綴った、近代日本の肖像。(解説=西成彦)
【目次】
東の国から──新しい日本における幻想と研究
夏の日の夢
九州の学生とともに
博 多 で
永遠の女性
生と死の断片
石 仏
柔 術
赤い婚礼
願望成就
横 浜 で
勇子──ひとつの追憶
訳者解説(平井呈一)
解説
「西洋と東洋とのあいだをつなぐ知的共感」を夢見て(西成彦)