岩波文庫<br> テス 〈下〉

岩波文庫
テス 〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 300p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003224021
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

テスは美貌と豊満な肉体にめぐまれ,しかも純な心と強い感受性の持主だが,貧困ゆえにつぎつぎと苛酷な運命にもてあそばれ,一歩一歩と悲劇的な破局にむかって歩んでゆく.その無残な生涯が緊密な構成でリアリスティックに描き出される.英国の作家トマス・ハーディ(一八四〇―一九二八)の数多い小説のなかで最も有名な代表作.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

170
下巻に入っても、清純な農村の娘テスの 不幸は続く。テスとクレアの純愛とは 裏腹に 過酷なテスの運命を、著者は 淡々と描く。 困窮の果てに テスは何を選択したのか? 19世紀の英国の農村で生きた人々の 価値観は ある意味 純粋で、昔ながらの 風景だが…感情を排除したかの テスの生き方が、印象的な作品だった。2019/03/15

ケイ

138
あまり好きな話ではなかった。私は、クレアを責めたい。テスが処女を失ったのは不幸だが、人生を挽回するチャンスはいくらでもあったのだと思う。それを潰したのはクレアに思えてならないのだ。そして、テスが積極的に幸せになろうとできないことに常に焦燥感を覚えた。金持ちの放蕩息子が引き起こしたにしろ、手遅れになるまでは、誰も本気で彼女を思いやらなかったことが、まったくやるせなく、読後の気持ちの整理がつかない。2017/01/09

Willie the Wildcat

83
真実そのものと同様に、真実の”時間軸”にも翻弄された主人公。不変の両親の”ブレ”が、物心両面で主人公を追いつめる真実。愛する男性の物心両面における”時差”が齎す主人公の心の変化と揺れという真実。物語設定の時勢を差し引いても、(良い意味での波乱もない)虚しい結末があまりに寂しすぎる。返す返すも、3人の仲間の友情が不変なのが唯一の救い。家系の心理的影響が辿り着くストーンヘンジ。”異”の基軸が、問われている感。なお、本著は一時発禁処分とのことだが、その論拠が頭に浮かばない。2019/10/26

はたっぴ

83
美しい情景描写と端正な文章とは対極の、あまりにも悲劇的な物語に目を背けたくなる瞬間があったが、テスの行く末を見守らずにはいられなかった。読了して何度も物語を振り返ったが、二人の男性のどちらにも嫌悪感を抱いてしまい、テスの言動にのみ関心を持って読み進めていたらしい。途中まで受け身だった彼女が終盤に取った行動が衝撃的であり、運命の歯車が狂い、抗えない不幸に落ち込んでいく姿が、この作品を強烈に印象づけている。気軽に読めるものではないが心に残る作品だった。【G1000】2018/09/20

のっち♬

42
時代や社会が違えば風習も違う。「たとえ彼女のやったとおりのことをした女でさえ、こんな扱いを受けるのが至当だろうか?」そこには、著者なりの深い同情と読者への訴えが込められている。事の成り行きに任せて頓着なしに黙従する彼女の道徳的価値観は、完成によってではなく志向によって判断されるべきもの、性格の美醜は目的と動機にもあるのだと。「彼女のような人間にとっては、生まれてくることそれ自体が、個人の意思を強制的に堕落させる一つの試練」テスの手に入れた真の愛の代償は余りにも過酷な運命であり、やるせない読後感を残す。2018/05/29

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