岩波文庫<br> モル・フランダーズ 〈下〉

  • ポイントキャンペーン

岩波文庫
モル・フランダーズ 〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 268p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003220849
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

デフォー(一六六〇?‐一七三一)のもう一つの代表作『ロビンソン・クルーソー』と同様,彼はこの作品でも女主人公になりきって,彼女のたどる人生を,運不運を,事実に即するかのように描いていった.彼の作品は作者自身の分身であるとともに,勃興しつつある資本主義の担い手であるイギリス中産階級の精神を代表するものとなった.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まふ

109
モルは生活維持のためにギリギリ頑張るがついにスリを始めて、本格的な窃盗生活に入り、世話になった「女将」の手ほどきで<成功>を収める。が、ある日現場を抑えられて逮捕されニューゲイト監獄に収監され、死刑判決を受ける。「女将」の懸命な救助活動によって流刑に減刑され、ヴァージニアに着くと囚人身分から脱し、メリーランド州で因縁の自分の息子にも会えていつの間にか大農園主となる…。悪女の断末魔を期待する読者の期待を裏切る終わり方だったが、作者デフォーの「どうだい」という顔が目に見えるようでもあった。G10002023/11/05

きりぱい

5
奥方になりたいと、意味もわからずおしゃまに言っていた少女が忌まわしい出生のもと人生を狂わせてゆく。自ら悪の万華鏡だったと振り返る主人公の過去は、波乱万丈の不運続きなのに、なぜか都合良くついて回る中途半端な男運の良さ。貧困の不安と不幸な偶然には同情しても、調子に乗ってくる悪事をすべて悪魔のささやきのせいと言われては肩を持つ気も起らない。悔いる機会を逃し、気付けば60歳を越え、計らずもスタートに戻った主人公はどんな地獄を見るのか?と思いきや生ぬるい?2010/06/11

takeakisky

1
いよいよ貧困がぼんやり遠くに見えてきたところで、悪い道へと踏み出すフランダーズ。描くデフォーの筆はかなりしつこい。口では悪いと言いながら、ポジティブな犯罪遍歴が続く。そして、あなたたちの興味がある事だから書いていると言わんばかりの押し付けがましさ。それに苛立っては読み進められません。適当に読み流すところです。フランダーズが正しい。なぜなら救済されたから。教訓は、お金が大事。顔も大事。うまくやった人が神のおぼえがよかった人。という非常にプロテスタント的、予定説的な話。めでたしめでたしの一代記。堪能しました。2022/02/14

刳森伸一

1
上巻の著者の序にあるようにフランダーズは悔悟の人になりきっているとは思えない。常にある種の打算を抱えている。だがそれがクルーソーよりもリアルに響く。2013/03/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/184209
  • ご注意事項