出版社内容情報
滅亡の市に住む男クリスチァンは神の都への巡礼に出る.落胆の沼を通り,死の影の谷を過ぎ,虚栄の市では投獄されるなど,苦難にあうが,信仰をもちつづけてついに天国の都を望み見る.バニヤン(1628‐1688)のこの物語は17世紀清教徒文学の傑作であるばかりでなく,イギリス最大の宗教文学で,聖書に次いでひろく読まれ,強い影響力をもっている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
13
世界の終りが近づいていることを悟った男が、妻子を足蹴にして出家した西行のように家族の声に耳を塞ぎ、「命、命、永遠の命!」と叫びながら巡礼となる。イギリスでは1640年前後に終末が訪れるという噂が広まっていたから、そういう不安に駆られる人が多かった。教会で正規の訓練を受けた聖職者を差しおいて、鋳掛屋風情が英訳された聖書を自分で読み解釈し説教する。そしてこんな寓話を作文してしまう。これが宗派を超えてキリスト教徒によって聖書に次いでもっとも読まれたベストセラーとなる。活版印刷と宗教改革のよって生まれた新しい事態2023/08/02
仮為
3
☆4昔よく読んだ若草物語の最初で、姉妹がごっこ遊びをしていて気になっていた本。ジョン・バニヤンの夢の中で、クリスチャンが自分の罪に気づきその重荷を解いてもらおうと狭き門を目指し、その後天の国へと巡礼の旅を続けていく。聖書の御言葉もたくさん引用されていて、信仰生活をしていく上で出会う多くの困難や誘惑が場所や人物となって上手く表されている。すごい本。2014/03/25
テッテレこだち
2
様々な艱難辛苦を超えて天国への道を目指す男の旅路を著者が夢を通して眺めるという筋書き。しれっとイギリスだけを認めている節などがあり、清教徒にとってのキリスト教文学なんだなあという感じ。古い本なので訳文も古く、言葉遣いがやや古語寄り。ラストシーンでなぜかややナルニア国物語の終盤を思い出したが、この手の地獄巡り系で主役がこのエンドなのは意外に読んできていないせいかもしれない。2024/07/21
takeakisky
1
他愛無いといえば他愛無い。稚拙といえば稚拙。それでも誤れる多数と正しき少数者という図式は、いつの世も一定の説得力を持つ。選民意識をくすぐるのだろう。私といえば、道を外れた人をたのしみに読み進んだ。救われないことは疑いがない。やっぱりもう一方の極みの方が面白いよねと罰当たりにも思う。しかし、行き当たりばったりな性格のクリスチァンとの途行きは心底骨が折れた。終いに正しく読むべしとは、作者も要らぬお節介也。第二部もあるので、気を取り直そう。2023/04/27
秋良
1
道徳の教科書を延々読まされてる感じ。私はたぶん地獄に落ちる(笑)2014/06/03