出版社内容情報
「老驥 櫪に伏するも 志は千里に在り」--『三国演義』の物語により親しまれてきた魏の「三曹」。生涯を戦さの場に過ごした彼らは、中国の文学に新たな歴史をひらいた、すぐれた文人でもあった。甲冑の内に秘められた魂の震えを感じさせるような、真情あふれる詩文を選び、詳細な注を付す。諸葛亮「出師の表」も収録。
内容説明
『三国演義』の物語により親しまれてきた魏の「三曹」。生涯を戦さに過ごした彼らは、中国の文学に新たな歴史をひらいた、すぐれた文人でもあった。甲冑の内に秘められた魂を伝える真情あふれる詩文に、詳細な注解を付す。諸葛亮「出師の表」も収録。
目次
曹操(楽府;文)
曹丕(詩;楽府;文)
曹植(賦;詩;楽府;文)
諸葛亮(出師表(出師の表))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミュポトワ@猫mode
76
この本は三国志が好きなら超刺さる本です。好きなら読んで損はしないです。俺は三国志演義の内容、しかもおぼろげな、しか知りませんが、この3人の見方が変わりました。詩を読むと演義で描かれていた人物像が良い意味で崩れます。良い意味で裏切ってくれます。なので、読んでみたほうが楽しいです。逆に言えば、三国志に興味がなくて、中国詩に興味がある人には刺さらないでしょうね。そういう人は他の人の詩を読んだほうがいいです。つか、曹丕についてはかなり意外だったなぁ…こんな詩を書く人だったんだ…2023/03/17
榊原 香織
75
さて、どうやってこれを読もうか 漢詩部分を中国語読みしようか、あ、ちょっと無理。 結局読み下し文を口に出してリズムを楽しみ、現代語訳を読む。 三国時代の英雄でありながら一流の詩人でもあった曹操、その子たち、合わせて三曹。 政争に敗れた悲劇の曹植が、詩人として一番有名。捨てられた女性の心情を歌ったのが意外に多い。 解説に、しょせん男の見方、といちいち書いてあるのがw2022/10/07
HANA
65
三国志に触れていたら絶対に外す事の出来ない曹操、曹丕、曹植の三曹と諸葛孔明。演技やそれを元にした創作だと主に触れられているのは彼らの軍事面や行政ばかり、詩人の側面に触れているのは『蒼天航路』以外思いつかない。本書はそんな彼らの詩をまとめた一冊。曹操の詩と言えば第一に思い浮かぶ「歩出夏門行」や初めて原文を読む「求賢令」、曹植の「七歩詩」、孔明の「出師表」等、有名なものから季節や人情を詠ったものまで、様々な詩が収録され彼らの新たな一面を見せられた気がする。三国志に直結する部分があるのも当時を感じられて良し。2022/03/01
藤月はな(灯れ松明の火)
64
三国志でお馴染みの曹操は詩にも優れていたといわれる。この本はその息子、曹丕、曹植の詩や文章、更に諸葛亮孔明の「出師の表」も収めた珠玉の作品である。岩波書店のラインナップはやっぱり、面白い!また、註の充実だけでなく、韻踏み、文章構成をも意識した対比を際立たせる訳などの漢詩のリズムや雰囲気を壊さない翻訳への拘りも素晴らしかったです。しかし、曹植と曹操の関係を知るとやらかし後、実兄の曹丕(文帝)とその子、明帝に対して頭が低い理由に肝が冷える。後、男性の心変わりを嘆く健気な女性を詠う詩への辛辣な評にもスッキリする2022/05/21
Die-Go
53
図書館本。三国志に英名を轟かせる曹操。そして、その息子の曹丕、曹植。彼らの文才は後世に残るものだったが、それをまとめて読めるこの本はすごい!しかも、諸葛亮孔明の「出師の表」まで掲載されている。詞藻を解さない自分としてもこの本の貴重さはわかる。★★★★☆2022/04/01